
10月になると日本各地でハロウィンイベントが開催され、多くの店舗で関連グッズが並ぶように、ハロウィンは日本で定着した季節のイベントの1つです。実は、お隣の中国でもハロウィンが人気を博しており、大きなビジネスチャンスがあります。今回は海外のお祭り・行事に焦点を当て、中国で浸透しつつあるハロウィンを紹介します。
ハロウィンとはどんな行事
ハロウィンは、毎年10月31日にかぼちゃのランタンなどを飾ったり、仮装したりして楽しむ行事です。
起源は2000年以上前に、古代アイルランドに住むケルト人が始めたとされています。11月に新年を迎えるケルト人にとって10月31日は、1年の終わりの日であると同時に「サウィン祭」を行う日でした。サウィンは「夏の終わり」の意味で、秋の収穫のお祝いでもあります。ケルト人は、この日に死者の霊が家族を訪ねてくると信じていました。
現在ではアメリカなどの西洋で広まっている行事であることから、ハロウィンはキリスト教と何かしらの関係があると思っている方もいるかもしれません。しかし、起源はケルト人が行っていた季節の区切りの祭りであるため、ハロウィンはキリスト教と関係ありません。キリスト教だけではなく、現在のハロウィンには宗教的な意味合いはなく、季節イベントの1つとして楽しまれています。
そして、ハロウィンで有名なセリフは、「トリック・オア・トリート(お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ)」です。アメリカでは、仮装した子どもたちが各家を回り、この言葉を唱えます。すると、子どもたちが訪ねた家は「ハッピー・ハロウィン」と歓迎し、お菓子をあげるのが習わしです。
中国のハロウィン

諸外国と同様に、中国においてもハロウィンを楽しむ文化が浸透しつつあります。この章では、中国のハロウィンの基本的知識や特色、広がっている背景などを詳しく解説します。
ハロウィンの中国語は「万聖節」
中国では、ハロウィンのことを「万聖節(ワンシェンジエ)」と呼び、仮装をして楽しむのが一般的です。どちらかと言えば、日本のようにコスプレをして楽しむと表現したほうがイメージしやすいかもしれません。
また、時期が近付くと、都市部やデパートではハロウィンの飾り付けが見られるようになり、ハロウィン用のお菓子なども販売されます。地域によっては、アメリカのように仮装をした子どもが「不给糖就捣乱(お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ)」と言って、近所の家を回ったりもするそうです。
中国のハロウィンの特色
中国のハロウィンは、仮装をして楽しむことがメインです。そのため、日本と楽しみ方が似ていると言えますが、違う点もあります。それは、仮装の衣装において、ゾンビなどの怖い恰好が主流だという点です。また、2023年のハロウィンでは三国志や西遊記のように、中国に関係するキャラクターや中華風の仮装がトレンドでした。
ただし、ハロウィンを楽しむ文化が浸透しているのは、北京や上海などの大都市で、地方に行くとハロウィンが行われていないとのことです。地域によって熱量に大きな差があるのも中国のハロウィンの特色と言えます。
中国でハロウィンの文化が広がる背景
中国のハロウィンは年々盛り上がりを見せており、クリスマスに匹敵するほどのイベントに成長しています。この章では、中国でハロウィンの文化が広がっている背景を紹介します。
- 仮装文化の浸透
中国の都市部では、ハロウィンの際に仮装をして楽しむ人が増えています。特に若い世代を中心に、様々なキャラクターに扮して街中を歩いたり、パレードやパーティーに参加したりするのが定番です。このような楽しみ方によって、ハロウィンの文化も広がっています。
- 商業イベントの増加
ハロウィンが近付くと、多くの企業はハロウィン関連のキャンペーンやプロモーションを行います。例えば、大型店舗の装飾や限定のお菓子の販売などです。このような商業イベントが増えていることも、ハロウィンの文化が広がっている背景と言えます。
- ホラーイベントの増加
中国では、ハロウィンの時期はホラー映画やホラーイベントが盛んです。特に、各地にあるテーマパークでは、特別なホラーイベントが開催され、多くの人が怖いもの見たさにイベントに足を運んでいます。このような非日常の楽しみ方ができるとして、ハロウィン文化が広がっています。
中国の人気テーマパークでのハロウィンイベント
中国でハロウィンの文化が広がっていることを示す一例は、中国国内のテーマパークにおいてハロウィンイベントが人気なことです。この章では、中国のテーマパークにおけるハロウィンイベントを紹介します。
上海ディズニーリゾート
上海ディズニーリゾートは、2016年に開業した世界で6番目のディズニーリゾートです。アメリカのテーマエンターテイメント協会(TEA)が発表した「Theme Index Report 2023」において、世界のテーマパーク入場者数ランキングで第5位を獲得しました。
2024年の上海ディズニーリゾートでは、10月4日から11月2日までの1カ月間、ハロウィンイベントが開催されます。普段は仮装した状態であれば入園禁止ですが、この期間に限って仮装した状態での入園が可能です。このことから、いつもと違う雰囲気を楽しめるとして、ハロウィンイベントは人気があります。
長隆歓楽世界
長隆歓楽世界は、2006年にオープンした中国最大級のテーマパークで、70以上の乗り物やアトラクションがあります。1日の最大入場者数が10万人以上という記録を持っており、中国を代表するテーマパークの1つです。特徴的なアトラクションは、10回転するジェットコースターや垂直ジェットコースターなどです。その長隆歓楽世界では、ハロウィンのイベントとして、「お化け屋敷」を期間限定でオープンすることが恒例となっています。
中国におけるハロウィンを活用したビジネス案

この章では、中国進出を検討している方に向けて、ハロウィンを活用したビジネス案を紹介します。
集客を目的としたハロウィンイベントの開催
中国のハロウィンは、仮装をしてイベントに出かけるのが主な楽しみ方の1つです。そのため、ターゲットが子どもであれば、仮装した子どもに対してお菓子を配布するといったイベントを開催することで、集客が期待できるでしょう。ターゲットが大人であれば、夜間に大人向けのハロウィンパーティーを開催することで、注目を集めることも可能です。このようなターゲットに合わせた話題性のあるハロウィンイベントを開催することで、自社商品やブランドの認知向上も期待できます。
コスチュームやハロウィングッズの販売
ハロウィンシーズンには、仮装用コスチュームや装飾用グッズの需要が急増します。特に、中国では怖い恰好をするのが主流のため、ホラー系のコスチュームが人気です。また、店舗や自宅の飾り付けも行われているため、ハロウィンの文化が浸透するほど関連グッズの需要の拡大が期待できます。このような背景から、中国でハロウィン関連の商品を販売することで、新規顧客の獲得や売上の拡大が期待できるでしょう。
中国での事業拡大にハロウィンを活用してみよう
10月31日はハロウィンの日です。西欧や日本と同じように、中国においてもハロウィンを楽しむ文化が広がっています。その特色は、子どもから大人まで仮装を楽しむ傾向にあること、怖い恰好をすることです。これらの特色を抑えた上で、中国向けのセール・イベントとしてハロウィンを活用してみてはいかがでしょうか。