中国市場に進出するなら必見!ダブルイレブンと日本企業の成功事例

中国では、11月11日に中国最大規模のセールであるダブルイレブンが開催されます。同セールの2023年の市場規模は23兆円を超えており、ビジネスチャンスの多い日として知られています。実際に日本企業の中には、「開始1分で7,000万円を突破」などのように、記録的な売上を達成した企業も少なくありません。そこで、今回は中国市場への進出を検討している経営者様に向けて、ダブルイレブンの概要や日本企業の成功事例を紹介します。

ダブルイレブンとは

ダブルイレブンとは、中国における11月11日の呼び名のことです。もともとは独身の日を指す言葉でしたが、現在では11月11日にECサイトで開催される大規模なセールを指すことが多くなっています。

歴史

1990年代に南京大学の学生が11月11日を1が並ぶ様子から、若者が集まって婚活パーティーをしたり、結婚相手を探したりする行事を開催したのが「独身の日」の始まりです。この独身の日の別名がダブルイレブンです。11(イレブン)が2つ並ぶ様子から、そのように呼ばれています。

この独身の日に注目したのが大手ECモールを運営するアリババグループです。アリババグループは2009年に独身者をターゲットにしたセールを開催し、「デートのできない若者はショッピングを楽しもう」と呼びかけます。2009年のセール時の取引額は5,200万元でしたが、2021年には5,403億元となり、12年でその規模は1万倍以上に成長しました。

今ではダブルイレブンと言えば、11月11日に行われるセールそのものを指すことが多くなっています。

アリババグループとは

アリババグループは、ECモール「alibaba.com(アリババ)」を運営する中国を代表するIT企業です。アリババは、中国版アマゾンと呼ばれることもあります。

創業者のジャック・マー氏は1999年にアリババを創業し、現在ではアリババ以外にも、Tmall(点猫)やタオバオマーケットプレイスなどのECサイトを運営しています。また、中国の決済サービスの「アリペイ」を運営しているのもアリババグループです。

以前は日本のソフトバンクグループが筆頭株主でしたが、現在は株のほぼ全てを売却しています。

ダブルイレブンが急拡大した理由

先述のとおり、ダブルイレブンは12年で、取引額が1万倍になるほど急拡大しました。その主な理由として、以下の4つが挙げられます。

  • EC市場の拡大
  • 越境ECの拡大
  • スマートフォンの普及
  • ライブコマースの拡大

ここでは、ダブルイレブンが急拡大した理由について詳しく解説します。

EC市場の拡大

ダブルイレブンの取引額が大幅に増加した1つ目の理由は、中国国内のEC市場の拡大です。経済産業省の「令和4年度 電子商取引に関する市場調査」によると、2022年の中国のEC市場規模は2兆8,790億ドルで、前年比9.1%増という高い成長率を達成しています。2020年から2026年までの中国のEC市場規模推計値は以下のとおりです。

出典:経済産業省「令和4年度 電子商取引に関する市場調査

また、中国のEC市場は全世界の約50.4%のシェアを誇ります。つまり、世界最大のEC市場が中国で、2位のアメリカと比較しても2倍以上の差があります。

出典:経済産業省「令和4年度 電子商取引に関する市場調査

越境ECの拡大

ダブルイレブンが急拡大した2つ目の理由は、越境ECの拡大です。近年の中国のECサイトは品質が向上しており、中国国内だけではなく、海外からのユーザーも増加しています。また、反対に中国国内から海外商品を購入する越境ECの市場規模も拡大しています。中国の越境ECの市場規模推計値は以下のとおりです。

出典:経済産業省「令和4年度 電子商取引に関する市場調査

このように、中国の越境ECの市場が拡大することは、中国で海外商品を購入しやすくなることを意味します。そして、ダブルイレブンでは海外商品がお得に購入できるとして注文が集中するため、同セールでの取引額を押し上げているのです。

後ほど事例として詳しく紹介しますが、実際に多くの日本企業が越境ECにより、記録的な売上を達成しています。

スマートフォンの普及

中国インターネット情報センターによると、2022年6月時点で中国のインターネットユーザーは10億5,100万人、インターネット普及率は74.4%に達しました。このインターネットユーザーのうち、99.6%の人がスマートフォンでインターネットを利用しているとのことです。

また、ダブルイレブンが始まった2009年のインターネットユーザーは3億8,400万人で、そのうちの60.8%の人が携帯電話を利用していました。つまり、中国のインターネットユーザーは12年で約2.7倍に増えています。

そして、中国でスマートフォンが普及したのは、デジタル化が進み、様々なサービスをスマートフォンで受けられるようになったためです。その一例として、中国のモバイル決済の普及率は86%で世界トップクラスを誇っています。

このような背景から、多くの人が手軽にECサイトにアクセスできるようになったことが、ダブルイレブンの急拡大につながっています。

ライブコマースの拡大

ライブコマースとは、売り手が商品を紹介するライブ配信を行い、視聴者に商品を販売するビジネスモデルです。ライブコマースは、視聴者が配信者にリアルタイムで質問できるため、中国で人気のショッピング方法です。

そして、ダブルイレブンではたった1人の配信者が200億元を販売したとされており、その視聴者数は4億5,000万人と言われています。このようなライブコマースの盛り上がりが、ダブルイレブンの拡大の理由です。

ダブルイレブンにおける日本企業の成功事例

ダブルイレブンはビジネスチャンスの多いイベントで、複数の日本企業も成功を収めています。この章では、ダブルイレブンで成功した日本企業を紹介します。

ヤーマン株式会社

ヤーマンは、東京に本社を置く美容機器メーカーです。2023年のダブルイレブンにおいて、Tmallの美容機器部門販売実績で2位を獲得するほどの成功を収めました。ヤーマンは、中国においてフェイスケア製品のブランドとして認知度が高く、特に美顔器が人気です。

株式会社資生堂

資生堂は2022年のダブルイレブンにおいて、Tmallの美容店舗売上ランキングで10位を獲得しました。なお、2021年は同ランキングにおいて4位でした。このように、資生堂はダブルイレブンにおいて人気があり、5年連続で1日の販売実績1億元を達成しています。

ユニ・チャーム株式会社

衛生用品のユニ・チャームもダブルイレブンで成功した事例です。同社の中国での主力製品は「大人用紙おむつ」で、ダブルイレブン開始わずか1分で7,000万円の売上を達成したとのことでした。中国では急速に高齢化が進んでおり、シニア向けの製品も需要が拡大しているとのことです。

ダブルイレブンで人気のカテゴリ

これからダブルイレブンを活用して、「中国に進出しよう」と思っている経営者様に向けて、ダブルイレブンで人気のカテゴリを紹介します。

  • 美容・スキンケア
  • 健康食品
  • 食料品
  • ホーム・リビング
  • ペット関連
  • AI家電

ダブルイレブンを活用して事業を拡大しよう

ダブルイレブンは、11月11日に中国で開催される大規模なセールのことです。中国最大規模のセールで、2023年の市場規模は23兆円以上とされています。今回紹介したダブルイレブンで成功した企業を参考に、ダブルイレブンを活用して、中国向けの自社商品やサービスの事業を拡大してみてはいかがでしょうか。

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