UAE(ドバイ)の現状とこれからー2020年ドバイ万博にむけてー

2018年の日本の初夏にUAEとオマーンの市場を把握するために、視察を行いました。
現在UAE(中でもドバイ)は2020年の国際博覧会にむけて、国際的な発展を遂げようとしています。
 
今回はそんなドバイ中心にUAEの現状と、今後の発展についてお話したいと思います。

ドバイはどんなところ?先入観とイメージ

まず、UAE(アラブ首長国連邦)について、みなさんはどのようなイメージを持っているでしょうか。
ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、UAEはアラビア半島のペルシア湾に面した地域に位置する、7つの首長国からなる連邦国家です。
7つの国それぞれに首長(絶対君主)がいるため、当然それぞれの自治は違います。
ですので、一口にUAEといっても国によって経済状況や政策が異なっているのです。
 
また、UAEといえば石油の取れる産油国というイメージが強いですが、その実は首長国ごとによって異なり、例えばドバイのGDPの内訳を見ると、石油資源に乏しいことがわかります。

ドバイ名目GDP構成比

2014年:ドバイ名目GDP構成比(%) Source: JETRO
 
逆に言うと、ドバイはUAEの他の首長国に比べて石油産業に依存しない経済発展を遂げているのです。
 
かつて、1960年代にドバイの父と呼ばれたラーシド首長は、石油に頼らない経済政策を目指し、以降歴代の首長もそれに従って空港や港湾、道路など経済活動に不可欠なインフラを整備し、経済特区を設け、行政機能を強化し、外資を誘致していきました。
その結果、ドバイの近代化が急速に進み、みるみる商業都市として発展していったのです。
現在では、砂漠の太陽光を利用したクリーンエネルギー(太陽光発電)政策に力を入れており、2050年までに供給するエネルギーの75%をクリーンエネルギー化することを目指しています。(参考:http://news.livedoor.com/article/detail/10560127/

クリーンエネルギー
Source: Gulf Business

ほかにも、中東といえば敬虔なムスリム(イスラム教徒)の国というイメージを持たれている方も多いと思いますが、現地に行くと意外にもお酒が好きというムスリムの方に合うことがあります。また、ドバイは外国人労働者が9割近くを占め、非ムスリムも多いことから、本来イスラム教では禁止されている豚肉食やお酒がOKのレストランもいくつか存在します。
ただ、人によって信仰心が異なるのでイスラム教の基本を理解したうえで、相手に合わせた配慮をすべきでしょう。

ドバイのモットーは「世界一」?

そして、なんといってもドバイは世界一に対して非常に敏感で、ドバイの街にもさまざまな世界一が集まっています。
 
たとえば、世界一の高さを誇る建造物「ブルジュ・カリファ」(地上828m)、世界一の大水槽が備わった「ドバイ水族館」、総敷地面積1200平方フィートもある世界最大のショッピングモール「ドバイ・モール」など、ありとあらゆる世界一を集めた街づくりを行なっています。
さらに、ドバイ政府は世界一スマートな国を目指して、Dubai Nowというアプリを立ち上げました

Dubai Now
Dubai Now

どのような機能が搭載されているのかというと、日本でいうマイナンバーのようなものとリンクして光熱費や住民税などの支払いや、車両登録ができたり、お祈りの時間や最寄りのモスクを調べることもできます。
 
このように個人情報を集約させ、そこから決済などを含む多様なサービスに紐づくシステムの発展を見ると、少し中国の発展の仕方に似ているかもしれません。
ただ、裏を返すと政府に権力と情報が集中する監視国家ということにもなります。
今後スマートシティ化の進展と共に、その傾向はますます強くなると考えられるでしょう。

ドバイ・ショックの爪痕と2020年ドバイ万博にむけて

独自の経済発展を遂げるUAEですが、2020年から2021年にかけてドバイが国際博覧会の会場となることが、2013年に決定しました。
中東・アフリカでの開催は初となり、年をまたいでの開催も1975年から1976年にかけて開催された沖縄国際海洋博覧会以来、およそ45年ぶりとなります。
 
ドバイ経済と聞いてドバイ・ショックを思い浮かべる方もいるでしょう。
2008年のリーマン・ショックの波を受け、翌2009年にドバイ金融市場の株価も大幅に下落。ドバイにいた多くの企業(日本企業も含め)が撤退を余儀なくされました。
現在もその爪痕は大きく、まだ景気が良いとは言えませんが、2012年に中断されていた建築工事や計画が再開され、観光客の増加、貿易や物流なども順調に推移し、過去3年ほど下落や低迷が続いていたドバイ経済は徐々に回復しています。
 
今回のドバイ万博で日本館が設けられることもあり、今後のUAE進出を後押しすることになるでしょう。
現時点でドバイ当局のウェブサイト(https://www.expo2020dubai.com/)上でサプライヤー登録をしている企業は、世界各国(140か国以上)から21,000社以上にも上っているため、2020年、2021年を見据えてアンテナを張ってみるのもいいかもしれません。

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