アジアの中でも親日度が高い台湾。プルーヴ社ではこれまで台湾で視察を行いながら、現地の企業とコミュニケーションを図ってきました。
今回は、数回の視察ではわからない日本と台湾のビジネスコミュニケーションについて、そして、海外進出・展開時に有効となるコミュニケーション方法についてお伝えします。
ビジネスでもLINEのID交換が当たり前
まず台湾でビジネスコミュニケーションの違いを感じたのは、挨拶の時です。台湾では名刺交換と同じ感覚で、LINEのID交換が行われます。日本同様LINEユーザーが多い台湾では、ビジネスのやりとりもLINEが主流になっています。
日本では情報セキュリティのリスクから、LINEでビジネスのやり取りをすることを禁じている会社もありますが、台湾ではスピーディーに進むというメリットから、ビジネスでも自然とLINEを活用するようになりました。
たとえば機器などが故障してメンテナンスを依頼するときは、LINEの登録をするとインフォメーションセンターを通してエンジニアグループとつながるので、すぐに対応できるエンジニアから連絡があり、修理日程を決めるまで時間がかかりません。また営業でもLINEが活用されており、製品カタログやチラシ、会社案内などは、LINEですぐに送ってくれました。
また意外かもしれませんが、地方の会社や高齢者ほどメールなどインターネットを使うよりもLINEの方が使いやすいようで、地方の会社に訪問した時に担当者からいただいた名刺には、メールアドレスではなくLINEのQRコードのみが記載されていました。
ビジネスでLINEを使うことは、日本人の感覚ではセキュリティが気になります。しかし台湾では、重要な情報やドキュメントはメールで送るなどLINEとメールを使い分けたり、上司からの連絡にはすぐに返信するなどのビジネスLINEマナーを守ったりして、快適にLINEを活用できるように配慮していました。
人と人とのつながりを重視する台湾社会
LINEでビジネスのやり取りをすることに、違和感を覚える日本人は多いでしょう。このことは台湾人も分かっているので、日本人にLINEのID交換の提案はしてきません。相手に合わせて、日本人には日本式の対応をしてくれます。
しかし台湾では、ビジネス上の顧客であっても”友達”と呼ぶほど、ビジネス相手との関係性が近くなります。そして、その関係性からビジネスのネットワークが広がっていきます。
つまり台湾では仕事を紹介し合うことが主流で、これは中華圏の文化として、人間関係を重視している表れです。台湾でビジネスをする上で、人との繋がりはとても重要なのです。
そういった視点からもLINEでやりとりをすることは、担当者同士の関係を近くすることに役立っています。たとえ顧客であってもスタンプを送ったり、挨拶抜きのフレンドリーなメッセージを送ったりできるので、関係性が良くなります。
信頼関係を築き上げても2~3年でゼロになる日本企業
プルーヴ社では、日本企業とパートナーシップを組むことに後ろ向きの台湾企業に、その理由をヒアリングしたことがあります。その理由のひとつに、日本企業の担当者と信頼関係を築いても、2~3年で変わってしまうことが挙がりました。
せっかく信頼関係を築いても、日本企業内の異動により関係を築き直さなければならないので、付き合いづらいと感じているようです。そのうえ最近では台湾企業の製品は、日本企業のような丁寧なサービスはなくても、品質はそこまで悪くないと考えられています。契約しても担当者が変わってしまう日本企業と組む必要はないと考えているのかもしれません。
このようにLINEでスピーディーなやり取りができないことや、短期間で担当者が変わる異動制度がある日本のビジネス習慣は、台湾企業との付き合いにはマイナスに働いていました。
文化や習慣を受け入れることが成功の鍵のひとつ
あたりまえですが海外と日本では、ビジネス習慣や文化に違いがあります。そこから生じるコミュニケーションギャップに事前に気付き、その国の文化や習慣に合わせたコミュニケーションをとる方が、ビジネスは早く進みます。その地域に合わせたコミュニケーションのとり方を少し工夫するだけで、事業成功の可能性は高まるでしょう。
台湾企業は日本企業とはメールでやり取りをしているので、LINEを押し付けてくることはありません。しかし日本企業側から、踏み込んでLINEでのやり取りを提案すると、台湾企業との距離も近づき、事業を進めやすくなるのではないでしょうか。