HOMEコラム / 半導体
半導体
サムスン(三星)とは?|何の会社かと韓国最大財閥の全体像を解説
2026.08.10 更新 / PROVE通信編集部
監修:森英朗(グループ代表)
サムスン(三星)とは?|何の会社かと韓国最大財閥の全体像を解説

サムスン(三星)とは?|何の会社かと韓国最大財閥の全体像を解説

📩 海外進出・海外戦略の最新動向を、月1回メールでお届けします。特典:関連資料PDFを2本プレゼント
ご登録ありがとうございます。特典PDFのご案内をメールでお送りしました。
→ あわせて海外事業の実現力を無料診断(約3分)

サムスンは、スマートフォンを売る一社の商号ではなく、韓国公正取引委員会が毎年指定する企業集団の名前です。中核のサムスン電子は2025年暦年で連結売上333.6兆ウォン、営業利益43.6兆ウォン。同じ集団には建設・商社のサムスン物産(2025年売上40.74兆ウォン)、生命保険、造船のサムスン重工業(同10.65兆ウォン)、ディスプレイ、SDSなどが並びます。2026年5月1日時点の公示対象企業集団で、資産総額は引き続き首位です。日本の装置・材料・部品企業が触れる窓口は電子の購買であることが多い一方、決裁や資金・保証の単位は集団側に残ります。本稿では何の会社かを電子に還元せず、歴史・直近数字・支配の経路・取引接点までを2026年8月時点の一次数字で整理します。

当コラムで注目する用語

  • 企業集団(財閥):同一人が複数法人を束ねる当局の単位。一社の商号ではない。
  • 同一人:集団を実質支配する自然人または法人。サムスンでは李在鎔氏が軸。
  • サムスン電子:半導体・スマホ・家電・ディスプレイ関連の中核上場会社。
  • サムスン物産:建設・商社・バイオロジクス持分を持つ中間の要。支配経路の結節点。
  • DS/DX:電子の社内区分。DSは半導体、DXはスマホ・テレビ・家電など完成品。
  • 公示対象企業集団:資産5兆ウォン以上。2026年は102集団。サムスンはその首位。

結論——電子の売上を見ても、集団の決裁単位は見えない

検索で「サムスン」と入れると、まずサムスン電子が出ます。売上333.6兆ウォンは韓国企業として突出しており、半導体メモリと完成品の両方を持つ会社として世界でも大きい。しかし契約書の当事者は電子、土地と建設は物産、保険は生命、船は重工業、社内システムの発注はSDS、と法人が分かれます。2026年の公示対象は102集団・所属3,538社で、サムスンはそのうち資産首位です。電子の購買担当と握手しても、集団内の優先調達や金融子会社の与信、相互出資制限のルールは別レイヤーです。何の会社かを一文で言うなら、「電子を中核に、建設・金融・造船・ITサービスを同一人が束ねる韓国最大の企業集団」です。

1938年の三星商会から、電子が中核になるまで

創業は1938年、李秉喆氏の三星商会です。当初は貿易と製糖・毛織で、電子は後年の柱です。サムスン電子の設立は1969年、上場は1975年。1980〜90年代にDRAMと家電・通信機器で規模を取り、1997年のアジア通貨危機後に事業を選別しました。2010年代はスマホと有機EL、2020年代はHBMなどAI向けメモリとファウンドリが投資の中心です。2026年3月18日の定時株主総会に続き、3月19日公表の「企業価値向上計画」で、電子は2026年の設備投資と研究開発を合わせて110兆ウォン超とする計画を示しました。前年実績90.4兆ウォンから2割超(21.7%)増で、初の100兆ウォン超です。歴史の要点は「商社が電子になった」ではなく、「貿易から始まり、電子が連結を支配する大きさになったあとも、建設・保険・造船が集団に残った」ことです。

サムスン電子——2025年は売上333.6兆ウォン、利益の厚みは半導体側

サムスン電子の2025年通期(Newsroom、2026年1月発表)は、連結売上333.6兆ウォン、営業利益43.6兆ウォン。第4四半期だけで売上93.8兆ウォン・営業利益20.1兆ウォンと、四半期最高を更新したと会社が書いています。連結財務諸表の注記では事業をDX(テレビ・冷蔵庫・スマホ・ネットワーク)、DS(メモリ・ファウンドリ・システムLSI)、SDC(ディスプレイ)、Harmanに分けます。子会社は308社を連結し、関連会社・合弁に持分法を適用する先にサムスン電気(SEMCO)などがあります。SEMCO自体は別上場で、2025年売上11.31兆ウォンです。電子の中だけでも、完成品のDXと半導体のDSでは顧客も投資サイクルも違います。日本企業が「サムスン向け」と言うとき、スマホ筐体なのかHBMの材料なのかで、相手部署も規格も別です。

電子以外——物産40.74兆、重工10.65兆、生保は利益で見る

サムスン物産の2025年連結売上は40.742兆ウォン(前年42.103兆ウォン、▲3.2%)、営業利益3.293兆ウォン(+10.4%)、純利益約3.9兆ウォン(+40.9%)。建設と商事が看板ですが、バイオロジクス事業の利益寄与が大きい、と会社側の説明が続きます。物産は電子の持株を通じた支配経路の結節でもあり、売上ランキングだけで「建設会社」と切ると見誤ります。サムスン重工業は2025年売上10.65兆ウォン、営業利益8,622億ウォン(+71.5%)。LNG船など高付加価値船が回復の主因で、2026年は売上12.8兆ウォン・受注139億ドルを目標にしています。サムスン生命は保険料収入と電子の売上を足せません。2025年の連結純利益は2.3兆ウォン(+9.3%)と会社が過去最高と説明し、資本の一部は電子株の評価に連動します。SDSの2025年売上は13.9299兆ウォン、営業利益9,571億ウォンで、ITサービス6.5435兆ウォンと物流7.3864兆ウォンに分かれます。サムスンバイオロジクス単体は売上4.557兆ウォン・営業利益2.069兆ウォン(会社発表)。電子に還元すると、保険の資産運用も造船の工期も、受託バイオも、建設の中東案件も消えます。

支配の経路——物産を軸に、同一人は李在鎔氏

韓国の企業集団は、持株会社法上の純粋持株が一本化しているとは限りません。サムスンではサムスン物産が中間の要になり、電子・生命など主要上場株を通じて議決が連鎖します。李在鎔氏はサムスン電子の会長(Executive Chairman)で、当局の同一人の軸です。物産の大株主は李在鎔氏と関係者で、2025年末時点の一族・関係者持分は約36%と整理する二次分析があり、2026年1月2日の洪羅喜氏から李在鎔氏への贈与後、本人持分は約20.8%とされます(会社IRの確定表と突合が必要なため本稿では幅を持たせる)。循環出資の新規形成は2014年から公正取引法で禁じられ、持株会社化も進みましたが、少ない持ち株で集団全体の方向を決められる構造は残っています。専門経営陣が日常の執行を担い、大型投資・人事・系列間取引の枠は同一人側に残る、というのが2020年代の実務的な読みです。

2026年の公取指定——資産首位であり、相互出資制限がかかる

公正取引委員会は2026年4月29日に指定結果を出し、5月1日から適用しました。公示対象は資産5兆ウォン以上の102集団、相互出資制限は名目GDPの0.5%に当たる12兆ウォン以上の47集団です。サムスンは資産総額で1位、SK・現代自動車・LG・ハンファが続きます。相互出資制限集団には相互出資禁止、循環出資の新規禁止、系列間債務保証禁止、金融・保険会社の議決権制限などがかかります。日本企業が電子とだけ基本契約を結んでも、保証や内部取引の開示義務は集団指定の側にあります。前稿の財閥の仕組みと重ねると、通称「5大」と今年の資産順位は一致しません。サムスンだけは通称でも指定でも首位であり、その安定感が「電子=集団」という誤読を招きやすい。

承継と規制——2020年代に会長職と刑事・独占禁止が重なった

李健熙氏の死後、李在鎔氏への経営権集中が続き、2022年以降に刑の執行停止・赦免と経営復帰が段階的に進みました。詳細な裁判経過は本稿の主題ではないため、確定した肩書と集団指定だけを使います。2026年時点の対外肩書はサムスン電子会長です。独占禁止と企業集団規制は、内部取引の開示、金融系列の議決権、循環出資の新規禁止として日常の契約に効きます。専門経営(CEO)が四半期の利益を説明し、会長が設備投資の総額と人事の枠を示す、という役割分担が、110兆ウォン超の投資計画のような大型案件で表面化します。日本側が「担当役員のハンコがあれば集団は動く」と読むと、系列間の資金と保証で止まります。

続きを読む前に — 海外進出の実務ノウハウをメールで受け取る
国別の規制動向・進出事例・チェックリストを、月1回お届けします。登録はメールアドレスのみ。
【登録特典】「日本企業の海外戦略 最新10ケース」+「主要国 規制・認証チェックリスト2026」の資料2本(PDF・各8ページ)を、登録直後にメールでお届けします。
ご登録ありがとうございます。特典PDFのご案内をメールでお送りしました。
→ あわせて海外事業の実現力を無料診断(約3分)
※ いつでも配信停止できます。

日本の装置・材料・部品が触れる地点

電子のDS(半導体)は、前工程装置・ウエハー・レジスト・ガス・後工程材料の大きな買い手です。東京エレクトロン、SCREEN、信越化学、SUMCO、JSR、レゾナックといった日本企業が、平沢・華城・テキサスのテイラー工場向けに触れるのはこの層です。DX(完成品)はカメラモジュール、積層コンデンサ、筐体、ディスプレイ材料で、村田・SEMCO・日東電工などが窓口を持ちます。物産の建設・商事はプラントと資源、重工業は船舶用機器と鋼材、生命は機関投資家としての日本株・不動産です。同じ「サムスン向け売上」でも、電子DSの装置と物産の建設資材では与信も納期も違います。ベトナム北部には電子の組立クラスターがあり、日本の部品企業が現地法人で納入する経路もあります。テイラー(テキサス)はCHIPS法関連の支援を受けた大型投資として報じられており、装置の検収時期が日本側の受注を動かします。接点を一枚にするときは、法人名×工場×品目の3列が最小です。電子のDS投資が増えても、物産の建設入札や重工の船級検査は別窓のまま動きます。

無料ダウンロード資料

日本企業の海外戦略 最新10ケース 2024-2026

日本製鉄×USスチール・トヨタ・セブン&アイ・ホンダ×日産など、2024-26年に動いた日本企業の海外戦略10ケースを分解。5つのゲームルールと意思決定前10のチェックポイントを8ページに凝縮した保存版PDFを無料配布中。

無料でPDFを受け取る →

若手が誤解しやすい一点——電子の購買窓口がグループの決裁者だ

誤解は、サムスン電子の購買担当と単価合意すれば、集団全体の案件が開く、という読みです。電子は最大の窓ですが、物産の建設入札、重工の船級・工期、生命の資産運用、SDSのグループ内ITは別法人です。もう一つの誤解は、SEMCOやサムスンSDIを「電子の一部門」と扱うことです。SEMCOは別上場の部品会社で、電子は持分法の対象になりえます。SDIは電池で、電子のDSともDXとも顧客が重なりつつ法人は分かれます。正しく読むなら、名刺の会社、当局の集団名、同一人の3つを分けて書く。電子の売上333.6兆ウォンは「何を売っているか」の答えであって、「誰が集団を決めているか」の答えではありません。

この先の90日——名刺の会社と指定区分を1枚にする

90日の作業は狭い。(1) いま取引中または狙う相手の法人登記名を書く(電子/物産/重工/SDS/SEMCO/その他)。(2) 2026年指定でサムスン集団の公示対象・相互出資制限に入っていることを確認する。(3) 品目がDS(半導体)かDX(完成品)か建設・船・保険かを分ける。(4) 見積もりの宛先部署と、保証・基本契約の当事者が同じ法人かを法務に確認する。(5) 平沢・テイラーなど投資が続く拠点に自社品が載るかを、公開の設備計画の範囲で照合する。サムスンとは何かを電子一社に還元した代償は、間違った法人にNDAを結び、集団の保証制限に後から当たることです。全体像の1枚は、売上の大きさではなく、法人と指定と同一人の3行です。

読み解きのポイント ①電子2025年売上333.6兆ウォン・営利43.6兆ウォン ②物産40.74兆・重工10.65兆は別法人 ③2026年公取で資産首位・相互出資制限対象 ④支配の結節は物産、同一人は李在鎔氏 ⑤日本企業が触れるのはDS装置材料とDX部品が別窓

サムスンはスマホの会社ではなく、電子を中核に建設・金融・造船を束ねる韓国最大の企業集団です。契約の相手法人を固定した資料だけが、次の四半期の商談を動かせます。

よくある質問

Q. サムスンとサムスン電子は同じですか?

違います。サムスン電子は集団の中核上場会社です。当局が見る単位は企業集団で、物産・生命・重工業など別法人が並びます。

Q. いちばん大きい会社はどれですか?

売上ではサムスン電子が突出しています(2025年333.6兆ウォン)。ただし建設・保険・造船の決裁は電子の購買では決まりません。

Q. オーナー家はまだ経営していますか?

李在鎔氏がサムスン電子会長で、集団の同一人の軸です。日常執行は専門経営陣、大型投資と人事の枠は同一人側、と読むのが実務的です。

Q. 日本企業はどこで取引しますか?

半導体装置・材料はDS、コンデンサやフィルムはDXやSEMCO、建設・プラントは物産、船用機器は重工業です。法人名と工場を分けて書いてください。

主な出典

Samsung Electronics Newsroom「Fourth Quarter and FY 2025 Results」(2026-01:売上KRW 333.6兆・営利43.6兆、4Q 93.8兆/20.1兆)/Samsung Electronics 連結財務諸表注記(DX/DS/SDC/Harman、子会社308社)/Samsung C&T Newsroom 2025通期(売上40.742兆・営利3.293兆)/聯合ニュース 物産純利益3.9兆(2026-01-28)/Samsung Heavy Industries 2025通期(売上10.65兆・営利0.862兆、MarketScreener/取引所開示の二次伝達)/Samsung Life 2025連結純利益2.3兆(決算説明)/公正取引委員会2026年指定(政策ブリーフィング 2026-04-29、公示102・相互出資制限47)/SEMCO FY2025 Newsroom(売上11.3145兆ウォン)/サムスン電子「2026年 企業価値向上計画」公示(2026-03-19:設備投資・R&D計110兆ウォン超、前年90.4兆から+21.7%)/サムスンSDS Newsroom 2025通期(売上13.9299兆・営利0.9571兆)/サムスンバイオロジクス公示 2025通期(売上4.557兆・営利2.0692兆)/サムスン生命IR 2025連結純利益2.3028兆(+9.3%)/サムスン電気Newsroom FY2025(売上11.3145兆)/金融委電子公示システム 李在鎔氏株式保有状況報告書(2026-01-09:物産個人持分20.82%、洪羅喜氏からの贈与分含む)/李在鎔氏の一族・関係者合算持分約36%は2025年末時点の二次分析(会社確定株主表は本稿で未再取得のため⚠️)/米商務省・NIST CHIPS Incentives Award(Samsung Austin Semiconductor、2024-12確定、$4.745B)/調査時点:2026年8月10日。

PROVE通信では、海外事業と国内事業の判断に効く構造変化を、一次情報にあたって毎週お届けしています。プルーヴ通信の登録は無料です。個別のご相談はお問い合わせからどうぞ。

※2026年8月時点の情報をもとに作成しています。監修:森英朗(グループ代表)。

海外進出のヒントを毎月お届け

「グローバルYOU」メールマガジン

海外進出・海外戦略の最新動向、国別レポート、実務で使えるチェックリストを月1回お届けします。登録はメールアドレスのみ・30秒で完了。

  • 国別の最新規制・市場動向
  • 進出・撤退の実例
  • 限定の実務テンプレート
【登録特典】「日本企業の海外戦略 最新10ケース」+「主要国 規制・認証チェックリスト2026」の資料2本(PDF・各8ページ)を、登録直後にメールでお届けします。
ご登録ありがとうございます。特典PDFのご案内をメールでお送りしました。
→ あわせて海外事業の実現力を無料診断(約3分)
※ いつでも配信停止できます。ご登録は当社プライバシーポリシーに同意の上でお願いします。
約3分・無料・その場で結果表示
海外事業 実現力診断

20問の選択式診断で、5軸スコアと実行指針を確認できます。詳細レポート(PDF)の請求も可能です。

無料で診断を始める →
無料ダウンロード資料

日本企業の海外戦略 最新10ケース 2024-2026

日本製鉄×USスチール・トヨタ・セブン&アイ・ホンダ×日産など、2024-26年に動いた日本企業の海外戦略10ケースを分解。5つのゲームルールと意思決定前10のチェックポイントを8ページに凝縮した保存版PDFを無料配布中。

無料でPDFを受け取る →

または 約3分の無料診断で海外事業の実現力をチェック →

INDUSTRY EXPERT SUPPORT

海外進出のお悩み、PROVE が伴走します

市場調査・進出戦略・パートナー開拓・現地法人設立——業界レポートでは答えが出ない論点を、19 年 / 60 カ国 / 2,000 件の実績で解決します。

プロヴェナンス株式会社 · 国際事業コンサルティング · 60 カ国の現地ネットワーク

海外進出および展開はどのように取り組めば良い?
とお悩みの担当者様へ

海外進出および展開を検討する際に、
①どんな情報からまず集めればよいか分からない。
②どんな観点で進出検討国の現場を見ればよいか分からない。
③海外進出後の決定を分ける、「細かな要素」は何かを知りたい。

このような悩みをお持ちの方々に、プロジェクト時には必ず現地視察を行う、弊社PROVE社員が現地訪問した際に、どんな観点で海外現地を視察しているのかをお伝えさせていただきます。