現代自動車とはどんな会社?会社概要や業績、中長期経営計画を紹介

現代(ヒュンデ)自動車は、韓国に本社を置く自動車メーカーです。韓国財閥の1つである現代自動車グループの中核企業です。本記事では、現代自動車の会社概要・業績・中期経営計画を紹介します。

現代自動車とはどんな会社

出典:現代自動車

現代自動車は、自動車の製造・販売や金融サービスを展開している自動車メーカーです。日本では「ヒュンダイ」と呼ばれていましたが、2020年に韓国語の発語である「ヒュンデ」に呼び方が統一されました。この章では、現代自動車の会社概要や業績、企業理念を紹介します。

会社概要

現代自動車の会社概要は以下のとおりです。

会社名Hyundai Motor Company
本社韓国
設立1967年
従業員数73,502人
売上高162兆ウォン(2023年)

現代自動車は韓国財閥3位の現代自動車グループの中核企業です。その現代自動車グループは世界200カ国以上で事業を展開しています。2023年には、グループ全体で730万4,000台の自動車を販売しました。

歴史

現代自動車は、1967年に創業者の鄭周永(チョン・ジュヨン)氏により設立されたのが始まりです。そして、1983年にカナダ、1985年にアメリカに子会社を設立して海外進出を推進しました。その後、世界中に工場を設立して進出地域を拡大します。一例は以下のとおりです。

1997年:トルコの工場を設立

1998年:インドに工場を設立

2002年:中国で生産を開始

2007年:ブラジルに工場を設立

2009年:チェコ・ロシアに工場を設立

このように同社の特徴は、長い歴史の中で様々な地域に工場を設立し、事業規模や進出地域を拡大してきたことです。

企業理念

現代自動車は企業理念として、「Progress of Humanity(人類のための進歩)」を掲げ、以下の3つをミッションとしています。

  • 持続可能なモビリティ

持続可能な社会の実現に向けて、地球に負担をかけないモビリティを実現すること。

  • 今までにないカスタマーエクスペリエンス

ユーザーにとって便利で新しいモビリティ体験を提供すること。

  • 制限のない自由なモビリティ体験

利便性の高いモビリティサービスと丁寧なアフターサービスを提供すること。

つまり、同社はこれらのミッションを達成することで、人類の進歩を促進することを目指しています。

現代自動車の経営状況

現代自動車の経営状況として、直近6年間の売上高・営業利益の推移を紹介します。

出典:現代自動車「Quarterly Earnings

2023年の売上高は162兆ウォン(17兆8,200億円)で、2022年の142兆ウォン(15兆6,200億円)から20兆ウォン(2兆2,000億円)増加しました。2023年の営業利益は15兆1,000億ウォン(1兆6,610億円)で、2022年の9兆8,000億ウォン(1兆780億円)から5兆3,000億ウォン(5,830億円)増加しました。※1ウォン=0.11円換算

3年連続で売上高と営業利益が増加しており、現代自動車の事業規模は拡大していると言えます。

また、地域別売上高の構成割合は以下のとおりです。

参考:現代自動車「Quarterly Earnings

現代自動車の売上高は、北アメリカ・アジア(韓国を含む)・ヨーロッパで全体の97%を占めています。

現代自動車の事業別売上高の推移

現代自動車の経営状況を深掘りするために、この章では事業別売上高に焦点を当てて解説します。まず紹介するのは、事業別売上高の構成割合です。

参考:現代自動車「Quarterly Earnings

現代自動車は、自動車事業が全体の80%を占めています。さらに、各事業の売上高と営業利益の推移を紹介します。

自動車事業

自動車事業は、自動車の製造・販売を担う事業です。売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。

参考:現代自動車「Quarterly Earnings

2023年の売上高は130兆ウォン(14兆3,000億円)で、2022年の113兆ウォン(12兆4,300億円)から17兆ウォン(1兆8,700億円)増加しました。2023年の営業利益は12兆9,000億ウォン(1兆4,190億円)で、2022年の7兆3,000億ウォン(8,030億円)から5兆6,000億ウォン(6,160億円)増加しました。このように、自動車事業が右肩上がりで売上高を伸ばしています。自動車事業が伸びていつ要因は、アメリカにおける電気自動車の販売が好調なためです。その根拠に現代自動車グループは、アメリカの電気自動車市場のシェア2位を獲得しています。

金融事業

金融事業は、自動車ローンやクレジットカード処理、その他の融資活動を担う事業です。売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。

参考:現代自動車「Quarterly Earnings

2023年の売上高は22兆4,000億ウォン(2兆4,640億円)で、2022年の20兆ウォン(2兆2,000億円)から2兆4,000億ウォン(2,640億円)増加しました。一方、2023年の営業利益は1兆3,800億ウォン(1,518億円)で、2022年の1兆8,400億ウォン(2,024億円)から4,600億ウォン(506億円)減少しました。

その他事業

その他事業は、研究開発や電車の製造、その他の活動を担う事業です。売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。

参考:現代自動車「Quarterly Earnings

2023年の売上高は10兆1,000億ウォン(1兆1,110億円)で、2022年の8兆7,000億ウォン(9,570億円)から1兆4,000億ウォン(1,540億円)増加しました。2023年の営業利益は1兆600億ウォンで(1,166億円)、2022年の5,800億ウォン(638億円)から4,800億ウォン(528億円)増加しました。営業利益は前年比で1.8倍に増加し、金融事業に迫っています。

現代自動車の中長期経営計画

現代自動車は中長期経営計画として、2024年8月に「Hyundai Way」戦略を発表しました。

「Hyundai Way」戦略における主な目標は以下のとおりです。

  • 2030年までに、2023年比30%増となる世界年間販売台数555万台を目指す。
  • 2030年までに、電気自動車を世界で年間200万台を販売する。
  • 2030年までに、低価格帯・高価格帯・高性能車などで全21車種の電気自動車を提供する。
  • 1回の充電で航続距離が900kmを超える電気自動車の新モデルを北アメリカと中国で提供する。

現代自動車は目標の達成のために、2033年までに120兆5,000億ウォン(13兆2,550億円)を投資する予定です。

また、今後は電気自動車とハイブリッド車の競争力の強化、バッテリー技術と自動運転車技術の強化を発表しています。特に、電池技術の内製化や水素技術を強化し、エネルギー転換期においてリーダーシップの確保を目指すとのことです。

※ハイブリッド車とは、ガソリンエンジンと電気モーターの両方を組み合わせた自動車です。

現代自動車はASEAN市場を重要視

現代自動車は、韓国財閥の現代自動車グループの中核企業で、韓国の代表的な自動車メーカーです。電気自動車やハイブリッド車の製造・販売に注力しています。その現代自動車は、今後、ASEAN(東南アジア諸国連合)へ進出することを発表しています。特に、電気自動車へのシフトが進むインドネシアの進出に力を入れるとのことです。売上が伸びており、ASEAN地域に進出しようとしている現代自動車に注目しましょう。

関連する事例

海外進出および展開はどのように取り組めば良い?
とお悩みの担当者様へ

海外進出および展開を検討する際に、
①どんな情報からまず集めればよいか分からない。
②どんな観点で進出検討国の現場を見ればよいか分からない。
③海外進出後の決定を分ける、「細かな要素」は何かを知りたい。

このような悩みをお持ちの方々に、プロジェクト時には必ず現地視察を行う、弊社PROVE社員が現地訪問した際に、どんな観点で海外現地を視察しているのかをお伝えさせていただきます。