トランプ関税で不安定な2025年でも躍進する日本企業10選

2025年はトランプ関税の影響で世界経済に大きな混乱が生じました。不確実性が高まる中、ビジネスチャンスを見つけるのは難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。

しかし、このような状況でも着実に成長を続けている企業は存在します。そこで本記事では、2025年に成長している日本企業10選を紹介します。

2025年に躍進する日本企業10選

世界経済の不確実性が高まる中でも、環境の変化を的確に捉えることで、新たな成長のチャンスを見出すことができます。ここからは、2025年に躍進を続ける日本企業10社の特徴を解説します。

株式会社 ファーストリテイリング:アパレル

出典:株式会社 ファーストリテイリング「会社概要

株式会社ファーストリテイリングは、アパレルブランド「ユニクロ」を展開する企業です。2025年8月期の決済では売上高が3兆4,005億円、営業利益が5,642億円となり、5年連続で過去最高を更新しました。

出典:株式会社 ファーストリテイリング「連結業績推移

同社の成長をけん引したのは、海外事業の好調です。特に韓国・東南アジア・オーストラリア・北米・欧州で大幅な増収増益を記録しました。海外事業全体では、前期比1,984億円増を実現しています。

海外事業の好調な要因として、同社は次の3点を挙げています。

・コア商品の支持拡大

・効果的なマーケティング

・質の高い店舗展開

また、北米では前期比24.5%増と高い成長を実現し、トランプ関税によるコスト増を吸収しました。具体的には価格戦略の見直しや値引き率の適正化、経費管理の徹底により、販売管理費の削減が奏功しています。

ANAホールディングス株式会社:航空

出典:ANAグループ企業情報

ANAホールディングス株式会社は、日本を代表する航空大手・ANAグループの持株会社です。2025年3月期の決算では、売上高が2兆2,618億円で過去最高を更新しました。営業利益は1,966億円で前期比5.4%減となったものの、当初の予想を166億円上回り、トランプ関税の逆風下でも堅調な業績を維持しています。

出典:ANAグループ企業情報「ANAグループの業績

好調の主な要因は、国際旅客事業の伸びです。欧州で新たに開設した3路線は、いずれも搭乗率8割前後と高水準で推移しています。その背景は、旺盛な訪日需要の拡大です。また、2025年5月にはシンガポール航空との共同事業を開始し、東南アジア市場における競争力を強化しています。

横浜ゴム株式会社:タイヤ

出典:横浜ゴム株式会社

横浜ゴム株式会社は、タイヤやゴム、ゴルフ用品を製造・販売している企業です。同社が8月に発表した2025年1~6月期の半期決算によると、売上高は5,792億円で前期比10.3%増を達成し、過去最高を更新しました。これにより、通期の業績予想を上方修正し、1兆2,350億円としています。

同社の成長をけん引したのは、国内市場に加えて、欧州、インドです。日本国内の上半期のタイヤ販売数は前期比で16%増、欧州は16%増、インドは11%増でした。また、中国経済も回復の兆しを見せており、中国系自動車メーカー向けの新エネルギー車用タイヤの販売数も前期比を上回っています。

味の素株式会社:食品

出典:味の素株式会社

味の素株式会社は、うま味調味料「味の素」を製造・販売する食品会社です。調味料・食品事業や冷凍食品事業に加えて、ヘルスケア事業を展開しています。

同社が8月に発表した2025年4〜6月期の連結決算によると、売上高は3,640億円で前期比0.4%減となった一方、営業利益は493億円で前期比21.0%増と大幅に伸びました。

好調の要因は、医薬品や電子材料などを手掛けるヘルスケア事業です。パソコンの買い替え需要やAI(人工知能)の普及を背景に、半導体用絶縁材料の需要が高まりました。また、医薬品の開発製造受託の受注増も利益率を押し上げています。さらに、タイやインドネシアなどの新興国で、新製品の調味料の販売が拡大したこともポイントです。

同社は、通期の売上高を前期比6%増の1兆6,180億円と見込んでいます。

武田薬品工業株式会社:医薬品

出典:武田薬品工業株式会社「会社概要

武田薬品工業株式会社は、海外売上比率が9割を超える製薬企業です。同社が7月に発表した2025年4〜6月期の連結決算によると、売上高は1兆1,066億円で前期比8.4%減となった一方で、営業利益は1,845億円と前期比11.0%増を記録し、大幅な増益を達成しました。

好調の要因は、腸炎治療薬や新たな抗がん剤の販売が堅調に推移したことにあります。また、トランプ関税による影響を抑えるため、同社は在庫調整やサプライチェーンの最適化などの緩和策を講じています。

このように、トランプ関税の影響を最小限に抑えつつ、新製品の投入によって利益率を改善している点が同社の特徴です。

住友ファーマ株式会社:医薬品

出典:住友ファーマ株式会社

住友ファーマ株式会社は、大阪に本社を置く住友グループの製薬会社です。同社が7月に発表した2025年4〜6月期の連結決算によると、売上高は1,080億円で前期比19.1%増、営業利益は204億円で黒字化を達成しました。

同社は2023年に3,150億円の赤字を計上していましたが、2023年から2024年にかけて人員削減や研究開発の集約を進め、販売管理費を削減しました。その結果、2025年の好調につながっています。

ダイキン工業株式会社:空調機 

出典:ダイキン工業株式会社

ダイキン工業株式会社は、海外売上比率が8割を超える空調メーカーです。同社が8月に発表した2025年4~6月期の連結決算によると、売上高は1兆2,138億円で前期比3%減でした。一方、営業利益は1,213億円で前期比5%増を達成し、過去最高益を更新しました。

トランプ関税による直接的な影響は営業利益換算で75億円でしたが、価格転嫁とコスト削減により吸収しています。また、米国や中国で住宅市場が低迷する厳しい環境下でも、次の施策が業績に寄与しています。

・日本国内で高付加価値商品の販売を強化

・米国で住宅用ユニタリーエアコン(全館空調機)のシェア回復に注力

・中国で住宅用マルチエアコン(1台の室外機に複数の室内機を接続するタイプ)の販売にリソースを集中

さらに欧米での販売力・営業力を強化し、販売価格の引き上げとシェア拡大を両立することで、さらなる成長を目指しています。

株式会社良品計画:日用品

出典:株式会社良品計画

株式会社良品計画は、「無印良品」や「MUJI」を展開する小売企業です。無印良品は主に衣類、生活雑貨、食品などを取り扱っており、2025年8月末時点で世界に1,412店舗を展開しています。

同社が10月に発表した2025年8月期の決算によると、売上高は7,846億円で前期比18.6%増でした。また、営業利益は4,029億円で前期比19.8%増となり、過去最高益を更新しました。

好調の要因としては、国内外の既存店とEC事業の売上増が挙げられます。特に日本・東アジア・中国・台湾・香港・欧米での成績が貢献しています。

なお、欧米では不採算店舗を閉鎖して店舗数は減少しましたが、既存店とECの売上高は2桁成長を達成しました。さらに、為替相場も追い風となり、大幅な増収増益につながっています。

株式会社ディスコ:半導体製造装置

出典:株式会社ディスコ

株式会社ディスコは、半導体製造装置の大手企業です。同社が7月に発表した2025年4~6月期の業績によると、売上高は899億円で前期比8.6%増でした。また、営業利益は344億円で前期比3.3%増となり、第1四半期として過去最高を更新しました。好調の背景には、生成AI向け装置の需要が高水準で推移していることが挙げられます。

東京海上ホールディングス株式会社:保険

出典:東京海上ホールディングス株式会社

東京海上ホールディングス株式会社は、東京海上日動火災保険株式会社や東京海上日動あんしん生命などを傘下に持つ保険持株会社です。同社が8月に発表した2025年4~6月期の連結決算によると、売上高は1兆3,460億円で前期比4%増、純利益は5,000億円で前期比114%増という大幅な増益を達成しました。

増益の主な要因は、「自然災害の減少」と「自動車保険や火災保険の収益増」です。ただし、1月に発生したロサンゼルスの山火事の影響で、海外事業の純利益は3%減となっています。

好調な日本企業を支える海外戦略

好調な日本企業の多くに共通するのは、海外戦略の成功です。米国や中国に限らず、欧州やインド、東南アジアなど、多様な地域に進出している企業が目立ちます。

また、生成AIやインバウンド需要など、高まるニーズを取り込むことで成長を実現している企業も少なくありません。

このように、不確実性が高まる現代においても、海外市場には新たなビジネスチャンスが広がっています。事業拡大を模索している経営者様は、この機会に海外進出を検討してみてはいかがでしょうか。

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