株式会社小松製作所(以降は「小松製作所」と言います。)は、油圧ショベルやブルドーザーなどの建設機械を開発・販売している企業です。本記事では小松製作所について詳しく知りたいビジネスパーソンに向けて、同社の概要や経営状況、成長戦略などを徹底解説します。
小松製作所は世界2位の建設機械メーカー
出典:小松製作所
小松製作所は、油圧ショベルやブルドーザーなどの建設機械を開発・販売している日本企業です。Statistaの「2022年 世界の建設機械メーカーの売上高ランキング」では、世界2位を獲得しています。この章では同社の会社概要や歴史、事業内容を紹介します。
会社概要
小松製作所の会社概要は以下のとおりです。
会社名 | 株式会社小松製作所 |
本社 | 東京都 |
設立 | 1921年5月 |
従業員数 | 65,738人(2024年3月31日時点) |
拠点数 | 建設機械・車両部門の生産拠点数:58拠点 建設機械の販売拠点数:56拠点 販売・サービス代理店:151カ国 211社 |
売上高 | 3兆8,651億円(2023年度) |
小松製作所はコマツグループを率いる親会社で、グループ全体で251社あります。同社の生産拠点は世界に58拠点あり、海外生産比率は66%です。さらに、151カ国にある211社の販売・サービス代理店により、世界的な販売網を構築しています。
歴史
小松製作所の始まりは、1917年に竹内鉱業株式会社の開設した小松鉄工所が1921年に独立したことです。
1931年には農耕用トラクターの国産第1号、1947年にはブルドーザーの開発に成功します。そして、1952年にはモーターグレーダーの生産を開始するなど、建設機械メーカーとしてポートフォリオの強化を図ってきました。モーターグレーダーとは、エンジンを搭載した自走式の整地用の建設機械です。なお、トラクターで牽引して整地する器具はグレーダーと呼びます。
1955年、アルゼンチン向けにモーターグレーダーを輸出し、海外進出を果たします。
1964年にはインドに同社初の海外駐在員事務所を開設し、1967年にはベルギーに同社初の海外現地法人を設立しました。さらに、1970年にアメリカに現地法人を設立し、海外進出を加速させます。
この後もポートフォリオの強化と海外進出を推進したことで、現在は世界中に様々な建設機械を展開する大手企業に成長しています。
事業内容
小松製作所の主要事業は建設機械の開発・販売です。主力製品は油圧ショベルやロープショベル、ブルドーザー、ダンプトラック、ホイールローダーなどがあります。※ホイールローダーは、採掘した土砂や岩などを積みこむための建設機械です。
これらの製品ラインナップに、超大型のモデルを取り揃えているのが同社の特徴です。
さらにはフォークリフトやミニショベルといった小型機械、林業機械、鉱山機械など、各産業に適した機械も取り揃えています。
小松製作所の経営状況
小松製作所の業績について解説します。直近6年間の売上高・営業利益の推移は以下のとおりです。
参考:小松製作所「業績・財務ハイライト(通期)」
2023年度の売上高は3兆8,651億円、営業利益は6,072億円でした。2年連続で売上高・営業利益の過去最高を更新しています。好調を維持している要因として、鉱山機械を中心とした部品・サービスの売上の増加、円安の影響が挙げられます。
また、地域別売上高の構成割合は以下のとおりです。
参考:小松製作所「事業部門別・地域別業績(通期)」
日本の売上高の割合が9.5%のため、2023年度の小松製作所の海外売上比率は90.5%でした。グラフからも同社は世界中で活躍していることが伺えます。
なお2023年度は、中南米・アジア・欧州を中心に建設機械の需要が減少したものの、北米においては好調を維持しました。
小松製作所の事業別売上高の推移
小松製作所の事業は、「建設機械・車両」「リテールファイナンス」「産業機械他」に分かれています。事業別売上高の構成割合は以下のとおりです。
参考:小松製作所「事業部門別・地域別業績(通期)」
グラフから同社は建設機械・車両事業に特化した企業であることが分かります。
次に、各事業の売上高・セグメント利益の推移を紹介します。
建設機械・車両
建設機械・車両は、建設機械・鉱山機械・小型機械・林業機械を開発・販売している事業です。売上高・セグメント利益の推移は以下のとおりです。
参考:小松製作所「コマツレポート(統合報告書)」
2023年度の売上高は3兆6,152億円で、前年度より3,186億円の増加でした。また、セグメント利益は5,740億円で、前年度から1,304億円の増加でした。好調の要因として、北米・中南米・オセアニアにおける売上高の増加、為替レートの変動及び販売価格の見直しによるプラス影響が挙げられます。
リテールファイナンス
リテールファイナンスは、リースや割賦などの金融商品を取り扱う事業です。売上高・セグメント利益の推移は以下のとおりです。
参考:小松製作所「コマツレポート(統合報告書)」
2023年度の売上高は1,035億円で前年度より増加したものの、セグメント利益は242億円で前年度から減少しました。
産業機械他
産業機械他は、鍛圧機械や板金機械、工作機械などを開発・販売している事業です。売上高・セグメント利益の推移は以下のとおりです。
参考:小松製作所「コマツレポート(統合報告書)」
2023年度の売上高は1,956億円で前年度から増加したものの、セグメント利益は103億円で前年度と比較すると半分以下となりました。セグメント利益が減少したのは、世界的な半導体需要の減少を受けて、半導体産業用機械のメンテナンスの売上が減少したためです。
小松製作所の成長戦略
小松製作所は新中期経営計画において、成長戦略の3本柱を掲げています。3本柱の内容は以下のとおりです。
1. イノベーションによる成長の加速
DXスマートコンストラクションの推進や電動化機械の開発・市場導入などにより、ソリューションと機械の両面からイノベーションを加速させ、顧客の現場の最適化を目指しています。DXスマートコンストラクションとは、建設生産プロセスのあらゆるデータをICTでつなぎ、現場のすべてを可視化する同社独自のソリューションです。
2.稼ぐ力の最大化
アジア・アフリカ市場への取り組み強化や林業機械事業の推進により、収益獲得機会の最大化を目指しています。
3. レジリエントな企業体質の構築
効率的な事業運営の推進とリスクマネジメントの強化、多様性に富む人材基盤を充実化することで、レジリエントな企業体質の構築を目指しています。レジリエントとは、「回復力がある」「柔軟性がある」などを意味する言葉です。レジリエントな企業体質とは、予想外の問題や変化が起こっても柔軟に対応し、継続的に成長できる企業体質を指します。
ビジネス拡大のために海外へ進出しよう
小松製作所の2023年度の売上高は、3兆8,651億円で過去最高を達成しています。このように成功した理由は、積極的に海外進出を推進したためです。事実、同社の海外売上比率は90.5%に達し、海外での売上が会社の成長を牽引しています。
小松製作所が成功したように、世界にはビジネスチャンスが多くあります。ビジネスを拡大したい方は、この機会に海外進出を検討してみてはいかがでしょうか。