海外進出をフォーカスした市場にアジャイル展開する重要性

日本企業が海外進出する際、重要な課題となるのが「自社製品はどこに需要があるのか?」というターゲットの選定です。
今回はイギリス・ロンドンで感じた最新トレンドから、海外進出時におけるターゲティングのポイントについて考えたいと思います。

環境・健康意識が生活レベルで浸透しつつある欧米

近年、健康意識の高まりから「グルテンフリー」や「ヴィーガン」といった言葉を聞く機会が多くなりました。

 
イギリスではヴィーガン人口がこの10年間で3.6倍に増加し、先日出張で訪れたロンドンでも、レストランのメニューにグルテンフリーやヴィーガン、ベジタリアンなどと表記されているのをよく目にしました。

ヴィーガン

 
最近では食に限らず、服飾品や家具といった衣・住においてもその意識が高まっており、特に富裕層や中間層以上の人々の間では「環境や自然に優しいものを身に着けたい」「健康に良いものを摂取したい」という発想で物やサービスを購入する人が増えています。

 
中でも、動物製食品を一切摂取しないヴィーガンは「絶対菜食主義」とされていますが、その考え方の延長として革や毛皮などの動物製品全てを忌避する人も多いといいます。
さらに、動物性原料による発電を排除した“ヴィーガンエネルギー”の供給が開始されるなど、日本では考えられないほど健康や環境への意識が高まっています。

 
こうした需要は単なる業界動向ではなく、もはや生活習慣レベルの価値観として欧米全体に浸透しつつあります。
企業の商品プロモーションにおいても、健康や環境に配慮したストーリー展開で他社との差別化やブランディングを行う風土が徐々に大きくなってきました。

 
その一方で、グルテンフリーやヴィーガンが浸透しはじめたばかりの日本では、こういった話をすると驚かれることも多く、欧米人と日本人の感覚やトレンドにはまだまだ距離と時差があることをあらためて感じます。

現地情報から仮説を立て、フォーカスした市場にアジャイルで展開する

今回お伝えした欧米における健康・環境意識の高まりについて、日本人の感覚とは大きなギャップを感じた人も多いのではないでしょうか?
日本人の感覚だけで物事を考えたり、単純な数字や規模だけで断片的に市場を捉えてしまったりすると、実際にビジネスを始める際に想像とはかけ離れた現状を目にすることになるかもしれません。

 
そういった背景からも日本企業が海外に進出する際、最初はターゲットを広く設定し、製品・サービスを売りながらその反応を見て徐々にフォーカスしていきたいと考える人も多いと思います。
しかし、幅広いターゲットに展開するのは投資の分散につながり、無駄な時間や労力がかかって結局は遠回りになってしまう可能性もあります。

 
そうならないためにも、手当たり次第に展開するのではなく、その国々のトレンドや風土を理解した上で、自社製品・サービスの需要が見込めそうな市場を絞り込みします。そして、そこにフォーカスして、製品・サービスをカスタマイズしながらアジャイルに展開していくことが重要です。
また並行して次の選択肢を視野に入れながら、さらにターゲットを絞っていくのが主流の進め方となっています。

 
こうした市場の絞り込みの仮説を立てるためには、その国の裾野から上流までを知り、さらに専門家の意見なども含めて、顧客・市場・メーカーそれぞれの視点から現状を捉える必要があります。

 
特に海外での新たな文化づくり、ターゲットが狭い市場を狙う上では、現地の正確な情報を基にある程度の仮説を立て、アジャイルで徐々に方向転換していくのが進出の正しい選択肢になり得るでしょう。

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