第17回BRICS首脳会議が7月に開催!概要・参加国・議題を解説

第17回BRICS首脳会議は、2025年7月6日・7日にブラジル・リオデジャネイロで開催される予定です。世界の多極化が進む中、新興国の代表としてBRICSの動向に注目が集まっています。本記事では、第17回BRICS首脳会議の概要や参加国、注目される主要議題、日本への影響について解説します。 

BRICSとは 

BRICSは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカを中心に構成される国際的な枠組みです。
現在では、イラン、エジプト、アラブ首長国連邦、エチオピア、インドネシアが加わり、正式加盟国は10カ国に拡大しています。さらに、準加盟国(パートナー国)として10カ国が参加しています。 

「BRICS」の起源は、2001年に米ゴールドマン・サックスが提唱した「BRICs」(ブラジル、ロシア、インド、中国)という造語です。その後、2010年に南アフリカが正式に加わったことで、現在の「BRICS」という名称になりました。 

その目的は、国際社会における地位と発言力の強化です。実際に、以下の特徴から国際社会における影響力が高まっています。 

  • 世界の陸地の約3分の1を占める 
  • 世界人口の約45%を占める 
  • 世界のGDPの約36%を占める 

この存在感から、ビジネスの観点でも関心が高まっています。 

第17回BRICS首脳会議の概要 

2025年7月6日、7日にブラジル・リオデジャネイロにて第17回BRICS首脳会議が開催されます。今回の会議では、「より包摂的で持続可能なガバナンスのためのグローバルサウスとの協力強化」をスローガンに、各国首脳による議論が行われる予定です。 

議長国ブラジルは、以下の内容について議論する方針を示しています。 

  • 貿易の流れを円滑にするための方策 
  • 貿易円滑化に向けた具体的措置の検討 
  • 自国通貨による決済手段の推進 

これらの課題に取り組むことで、参加国間の経済協力が一層強化されると見込まれています。 

参加国一覧と主要リーダー 

2025年の第17回BRICS首脳会議には、以下の加盟10カ国の首脳が出席する予定です。 

  • ブラジル:ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ(大統領) 
  • ロシア:ウラジーミル・プーチン(大統領) 
  • インド:ナレンドラ・モディ(首相) 
  • 中国:習近平(党総書記・国家主席) 
  • 南アフリカ:シリル・ラマポーザ(大統領) 
  • イラン:マスウード・ペゼシュキヤーン(大統領) 
  • エジプト:アブドルファッターフ・アッ=シーシー(大統領) 
  • アラブ首長国連邦:ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン(大統領) 
  • エチオピア:アビィ・アハメド(首相) 
  • インドネシア:プラボウォ・スビアント(大統領) 

首脳会議に先立ち、4月28日・29日にはBRICS外相会合が開催され、正式加盟国および招待国の外相ら20名が参加しました。 

第17回BRICS首脳会議の注目議題 

第17回BRICS首脳会議で注目される議題を紹介します。 

脱ドル化 

今回のBRICS首脳会議で最も注目される議題の一つが「脱ドル化」です。脱ドル化とは、国際取引や中央銀行の外貨準備において、米ドル以外の通貨の利用を促進する取り組みを指します。 

議長国ブラジルが自国通貨による決済手段の推進を模索しているように、BRICSは脱ドル化を支持する立場です。背景には、米中関係の悪化や、既存の金融体制への不満があるとされています。 

こうした動きに対し、トランプ米大統領は警戒感を示しており、BRICSが脱ドル化を進めた場合、「150%の関税を課す」と警告しました。このような国際的な緊張の中で、脱ドル化の議論がどのように展開されるかに注目が集まっています。 

グローバルサウスとの連携強化 

第17回BRICS首脳会議のスローガン「より包摂的で持続可能なガバナンスのためのグローバルサウスとの協力強化」にもあるように、今回の首脳会議の重要な議題の一つがグローバルサウスとの連携強化です。どのような方向性が示されるかに注目が集まっています。 

なお、グローバルサウスについて詳しく知りたい方は、「グローバルサウスとは?抱える課題や日本との関係をわかりやすく解説」の記事も併せてご覧ください。 

AIとヘルスケア 

BRICS諸国では、AIを活用したヘルスケアの高度化が進められています。例えば、中国では「健康中国2030」構想のもと、疾患のパターンを特定するためのデジタルプラットフォームの構築が進行中です。議長国のブラジルは、こうした技術革新を通じて医療格差を是正し、不平等の解消を図ることを優先課題としています。 

食料安全保障 

前回のロシア・カザンで行われた第16回BRICS首脳会議において、BRICS穀物取引所の設立が合意されました。穀物取引所の主な目的は、BRICS諸国が生産する穀物の公正かつ予測可能な価格指標を提供することです。こうした取り組みからもわかるように、BRICSにとって食料安全保障は重要な議題の一つです。 

脱炭素化 

BRICS諸国では、脱炭素社会の実現に向けて多様な取り組みが進められています。 

例えば、ブラジルではAIを活用して、風力や太陽光などの再生可能エネルギーの発電を最適化する技術の導入が進められています。一方、中国は「炭素排出権取引制度」の導入です。生産プロセスやサプライチェーン全体での二酸化炭素排出量の削減に取り組んでいます。 

これまでBRICSは、西欧諸国に比べ、脱炭素化の取り組みが遅れていると見なされることもありました。そのため、今回の首脳会議でどのような脱炭素化の方向性が示されるのかに注目が集まっています。 

世界的なテロ対策 

インドのナレンドラ・モディ首相は、BRICS首脳会談において世界的な対テロ対策の議論を深めることを目指しています。また、4月30日に開催された第15回BRICS安全保障担当上級代表会議においても、テロ対策が話し合われました。世界的な地政学的リスクが高まる中、どのようなテロ対策が議論されるのかに注目が集まっています。 

第17回BRICS首脳会議の日本への影響 

第17回BRICS首脳会議の主要議題の中で、特に大きな影響を及ぼすと考えられるのは、「脱ドル化」と「グローバルサウスとの連携強化」です。 

まず、脱ドル化の推進は、米国の国際的な影響力の低下や、為替市場への波及といった可能性があります。これは国際金融の構造そのものを揺るがしかねず、円相場の変動や日本企業の国際取引にも影響を与えることが懸念されます。動向によっては、日本企業においても戦略の見直しが求められるでしょう。 

さらに、BRICSとグローバルサウスとの連携が深まることで、世界の多極化が一段と進むかもしれません。この動きは、国際的なルール形成のプロセスや安全保障体制にまで波及し、日本の立ち位置に影響を与える可能性があります。 

第17回BRICS首脳会議の動向に注目しよう 

2025年7月に開催される第17回BRICS首脳会議では、脱ドル化やグローバルサウスとの連携強化など、国際経済に大きな影響を与える議題が話し合われる見込みです。これらの動きは、日本企業にとっても関係があります。世界の市場環境が激しく変動する今、その変化を的確に読み取るためにも、BRICS首脳会議の動向に注目しましょう。 

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