トラフィグラ(Trafigura)とはどんな会社?会社概要と業績

トラフィグラ(Trafigura)は、シンガポールに本社を置く世界最大の民間金属取引業者です。主に卑金属(ひきんぞく)とエネルギーを取引しており、世界2位の石油取引業者でもあります。本記事では、トラフィグラの会社概要や業績を詳しく紹介します。※卑金属とは、鉄・アルミニウム・銅・ニッケルなどの酸化しやすい金属のことです。 

トラフィグラとはどんな会社 

出典:トラフィグラ 

トラフィグラは、石油・石油製品・金属・鉱物・カーボン・ガス・電力・再生可能エネルギーなどの取引によって、国際的なサプライチェーンの効率化に貢献している企業です。この章では、同社の会社概要や歴史、取扱製品を紹介します。 

会社概要 

トラフィグラの会社概要は以下のとおりです。 

​​会​社名 Trafigura Group Pte. Ltd. 
本社 シンガポール 
設立 1991年 
拠点 世界50カ国以上 
進出地域 150カ国以上 
従業員数 12,000人以上 
売上高 2,443億ドル(2023年度) 

歴史 

1993年、クロード・ドーファン氏ら6名がトラフィグラを設立します。設立当初は石油と鉱物を南アメリカや東ヨーロッパ、アフリカに販売していました。1999年には、スーダンの石油を国際的に販売する最初の企業になりました。2015年時点で36カ国に進出していましたが、現在は150カ国以上に拡大しています。 

取扱製品 

トラフィグラは、石油や石油製品、ガスなどの商品を取り扱うコモディティ取引が主な事業です。同社の取扱製品やサービスは以下のとおりです。 

  • 石油・石油製品 

世界中の精製業者から多種多様な製品を取り扱っています。例えば、原油・ガソリン・液化石油ガス・ナフサなどです。 

  • 金属・鉱物 

鉱山業者などから非鉄や鉄鉱石、石炭を調達して販売しています。 

  • ガス・電力 

信頼性・柔軟性・安全性の高い電力源として、天然ガス・LNG(液化天然ガス)・電力を供給しています。 

  • 再生可能エネルギー・水素 

水素技術・再生可能エネルギー技術・クリーンエネルギー技術に投資し、低炭素な社会の実現に貢献しています。 

  • カーボン 

顧客の低炭素化を支援する製品やソリューションを提供しています。 

トラフィグラの経営状況 

トラフィグラの直近6年間の売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。 

参考:トラフィグラ「Financial reports」 

※2019年以前の営業利益は非公開のため不明です。 

2023年度の売上高は2,443億ドル(36兆6,450億円)で、2022年度の3,185億ドル(47兆7,750億円)と比較して742億ドル(11兆1,300億円)減少しました。一方、2023年度の営業利益は95億ドル(1兆4,250億円)で、2022年度と同水準を維持しました。※1ドル=150円換算 

売上高が大幅に縮小した要因として、取引量の減少と年間を通じて商品価格が下落したことが挙げられます。売上高は減少しましたが、エネルギー事業の収益性の改善により、営業利益は横ばいを維持しています。 

また、地域別売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:トラフィグラ「Financial reports」 

アジア、ヨーロッパ、北アメリカの主要3地域における売上高は全体の82.6%です。ただし、ラテンアメリカ・アフリカ・中東・オーストラリアで全体の売上高の17.4%あることから、世界の多くの地域で活躍している企業と言えます。 

トラフィグラの事業別売上高の推移 

トラフィグラの経営状況として、事業別売上高に焦点を当てて解説します。事業別売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:トラフィグラ「Financial reports」 

ここではさらに、トラフィグラの事業内容に加えて、売上高と営業利益の推移を紹介します。 

エネルギー 

エネルギー事業は、石油・石油製品・電力・再生エネルギーの取引や貨物輸送を行う事業です。具体的には原油・ガソリン・ナフサ・天然ガス・LNGなど、製品の調達と販売を担っています。グループ会社のプーマ・エナジーは、新興市場に約2,000の拠点を保有し、80以上の貯蔵ターミナルによって同事業を支えています。エネルギー事業の売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。 

参考:トラフィグラ「Financial reports」 

2023年度の売上高は1,710億ドル(25兆6,500億円)で、2022年度の2,142億ドル(32兆1,300億円)と比較して432億ドル(6兆4,800億円)減少しました。一方、2023年度の営業利益は90億ドル(1兆3,500億円)で、2022年度の85億ドル(1兆2,750億円)と比較して5億ドル(750億円)増加しました。 

売上高が減少した要因として、天然ガスの取引量の減少が挙げられます。参考までに、天然ガスとLNGの2023年度と2022年度の取引量は以下のとおりです。 

 2023年度2022年度
天然ガス 23.9 23.7 
LNG 11.2 13.0 
合計 35.1 36.7 

[単位:mmt(百万トン)] 

出典:トラフィグラ「Financial reports」 

売上高は減少したものの、世界的な貿易の流れの変化や新たな規制を考慮したサプライチェーンの再構築により収益性が改善し、営業利益は増加しています。 

また、エネルギー事業の地域別売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:トラフィグラ「Financial reports」 

このグラフから、エネルギー事業の主要地域は、ヨーロッパ・アジア・北アメリカ・ラテンアメリカであるとわかります。 

金属・鉱物 

金属・鉱物事業は、銅・鉛・亜鉛・アルミニウム・ニッケル・コバルト・鉄鉱石・石炭などを取引する事業です。また、倉庫事業と貨物輸送も含まれています。金属・鉱物事業の売上高と営業利益は以下のとおりです。 

参考:トラフィグラ「Financial reports」 

2023年度の売上高は733億ドル(10兆9,950億円)で、2022年度の1,043億ドル(15兆6,450億円)と比較して310億ドル(4兆6,500億円)減少しました。また、2023年度の営業利益は7億ドル(1,050億円)で、2022年度の10億ドル(1,500億円)と比較して、3億ドル(450億円)減少しました。売上高と営業利益が減少した要因として、取引量の減少が挙げられます。 

また、同事業の地域別売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:トラフィグラ「Financial reports」 

金属・鉱物事業はアジアの売上高の割合が最も高くなっています。その要因としては、太陽光ソーラーパネルや電気自動車用のEVバッテリーに同社の製品が利用されているためです。※中国では、世界の太陽光ソーラーパネルの8割以上を生産しています。 

まとめ 

トラフィグラは、石油・石油製品・天然ガス・LNG・卑金属を取引する企業です。本社はシンガポールにあり、世界150カ国以上に50以上の拠点を有しています。2023年度は売上高が大幅に減少したものの、営業利益は横ばいでした。事業にはエネルギー事業と金属・鉱物事業があり、売上高の70%をエネルギー事業が占めています。 

ロシアがウクライナに侵攻して以降、石油などのエネルギーの価格が高騰しているため、それらを取り扱う同社は今後も注目の企業と言えるでしょう。 

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