FedEx(フェデックス)とはどんな会社?会社概要や業績を解説

FedEx(フェデックス)は、アメリカに本社を置く世界有数の物流企業です。220以上の国や地域で事業を展開しており、1日1,600万個以上の荷物を配送しています。本記事ではFedExの会社概要や経営状況、成長戦略を紹介します。

FedExとはどんな会社

出典:FedEx

FedExは、国際総合貨物輸送サービスを提供する世界最大規模の物流企業です。この章では、同社の会社概要や歴史、経営理念を紹介します。

会社概要

FedExの会社概要は以下のとおりです。

会社名FedEx Corporation
本社アメリカ
設立1971年
進出地域220以上
従業員数50万人以上
売上高877億ドル(2024年度)

※FedExの会計年度の期間は6月1日から5月31日です。

歴史

1971年に、創業者のフレデリック・W・スミス氏はアメリカのアーカンソー州でFedExを設立しました。1973年にテネシー州で業務を開始し、186個の荷物を25都市に配達したのが事業の始まりです。

1984年に、ヨーロッパやアジアに拠点を持つGelco Express Internationalを買収し、大陸間配送を開始しました。その後も数多くの企業を買収し、事業を拡大したのが同社の特徴です。ここでは、買収した企業の一例を紹介します。

  • 1989年:21の国や地域への路線権を持つTiger International Inc.を買収
  • 2000年:Pri-Ex Inc.を買収し、韓国へのフルサービスを開始
  • 2006年:ANC Holdings Limitedを買収し、イギリス全体にサービスを展開
  • 2012年:ブラジル最大規模の物流企業Rapidão Cometaを買収
  • 2016年:TNT Expressの買収を完了し、ヨーロッパでの存在感を強化
  • 2018年:オーストラリア全土で事業を展開する物流企業のManton Air-Sea Pty Ltd,を買収

このように買収による積極的な事業拡大により、2008年には世界のほぼ全ての経済圏にアクセスできるようになります。

経営理念

FedExは経営理念として、3つの価値観を重要視しています。

  • 柔軟性

簡素化した配送サービスを顧客に提供すること。

物流サービス・自動化・サプライチェーンの可視化により、企業の業務効率化を支援すること。

  • 効率性

荷物の集荷・配送・配達方法を改善すること。

企業が二酸化炭素排出量を追跡できるようにするなど、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを行うこと。

顧客のニーズと規制の要件を一貫して満たすこと。

  • インテリジェンス

データに基づく分析を提供し、企業の意思決定を支援すること。

品質主導型経営の原則により、革新的なアイデアを実現すること。

FedExの経営状況

FedExの経営状況として、直近6年間の売上高と営業利益の推移を紹介します。

参考:FedEx「Annual reports

2024年度の売上高は877億ドル(13兆1,550億円)で、2023年度の902億ドル(13兆5,300億円)と比較して25億ドル(3,750億円)減少しました。一方、2024年度の営業利益は56億ドル(8,400億円)で、2023年度の49億ドル(7,350億円)と比較して7億ドル(1,050億円)増加しました。※1ドル=150円換算

売上高が減少した要因として、荷物量の減少と燃料サーチャージの低下が挙げられます。燃料サーチャージとは、燃料価格の上昇・下落によって変動するコストを別建ての運賃として設定する制度です。一方、営業利益はフライトの削減やルートの最適化、ハブの仕分けの効率化といった生産性の改善により向上しています。

また、同社の地域別売上高の構成割合は以下のとおりです。

参考:FedEx「Annual reports

FedExはアメリカ国内での売上高が72.4%で、海外売上比率は27.6%です。このことから、220以上の国や地域に事業展開しているものの、主要地域はアメリカとわかります。

FedExの事業別売上高の推移

FedExの経営状況について、事業別売上高に焦点を当てて解説します。事業別売上高の構成割合は以下のとおりです。

参考:FedEx「Annual reports

ここではさらに、主要3事業の内容に加えて、売上高と営業利益の推移を紹介します。

フェデックスエクスプレス

フェデックスエクスプレス事業は、小型荷物の配達や貨物輸送、国際輸送を担う事業です。同事業の売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。

参考:FedEx「Annual reports

2024年度の売上高は409億ドル(6兆1,350億円)で、2023年度の427億ドル(6兆4,050億円)と比較して18億ドル(2,700億円)減少しました。また、2024年度の営業利益は8億ドル(1,200億円)で、2023年度の11億ドル(1,650億円)と比較して3億ドル(450億円)減少しました。売上高と営業利益が減少した要因として、荷物量の減少と燃料サーチャージの低下が挙げられます。

フェデックスグラウンド

フェデックスグラウンド事業は、アメリカとカナダの個人や法人に向けて、翌日配達を提供している事業です。同事業の売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。

参考:FedEx「Annual reports

2024年度の売上高は343億ドル(5兆1,450億円)で、2023年度の335億ドル(5兆250億円)と比較して8億ドル(1,200億円)増加しました。また、2024年度の営業利益は40億ドル(6,000億円)で、2023年度の31億ドル(4,650億円)と比較して9億ドル(1,350億円)増加しました。売上高と営業利益が増加した要因として、荷物量の増加とコストの削減が挙げられます。

フェデックス貨物

フェデックス貨物事業は、小型トラック輸送(LTLサービス)を担う事業です。同事業の売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。

参考:FedEx「Annual reports

2024年度の売上高は91億ドル(1兆3,650億円)で、2023年度の96億ドル(1兆4,400億円)と比較して5億ドル(750億円)減少しました。また、2024年度の営業利益は18億ドル(2,700億円)で、2023年度の19億ドル(2,850億円)と比較して1億ドル(150億円)減少しました。売上高と営業利益が減少した要因として、荷物量の減少が挙げられます。

FedExの成長戦略

FedExは成長戦略として、以下の5つの項目を重視しています。

  • 主要事業を拡大する
  • 国際的に成長する
  • サプライチェーンの能力を向上する
  • 電子商取引とテクノロジーを通じて成長する
  • 新しいサービスと提携を通じて成長する

そして、これらの成長戦略を実施することで、以下の長期目標の達成を目指しています。

  • EPS(1株当たり純利益)を年間10%~15%増やす
  • 収益を増やす
  • 営業利益率10%以上を達成する
  • キャッシュフローを改善する
  • ROIC(投下資本利益率)を向上する
  • 株主への利益を増やす

FedExの事業展開の仕方を参考にしよう

FedExは翌日配送を始めた先駆者で、世界有数の物流企業です。現在では220以上の国や地域に事業を展開し、従業員は50万人を超えています。これほど海外進出や事業拡大が成功した要因は、積極的な企業買収です。海外進出や事業拡大を検討している経営者様は、同社の事業展開の仕方を参考にしてみてはいかがでしょうか。

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