ウーバー・テクノロジーズ(以降は、「Uber」と言います。)は、アメリカに本社を置き、フードデリバリーのUber Eats(ウーバーイーツ)を展開する企業です。世界70カ国の10,000以上の都市で事業を展開しています。本記事では、Uberの会社概要や経営状況を紹介します。
Uberとはどんな会社
出典:Uber
Uberは、配車サービスやフードデリバリーのプラットフォームを展開する企業です。日本ではコロナ禍において、フードデリバリーの需要増により急成長しました。この章ではUberの会社概要や歴史、経営理念、同社のサービスを解説します。
会社概要
Uberの会社概要は以下のとおりです。
会社名 | Uber Technologies, Inc. |
本社 | アメリカ |
設立 | 2010年 |
進出地域 | 70カ国 10,000都市以上(2023年12月31日時点) |
従業員数 | 約30,400人(2023年12月31日時点) |
売上高 | 372億ドル(2023年度) |
歴史
2008年12月、創業者のギャレット・キャンプ氏とトラビス・カラニック氏は、パリの寒い夜にタクシーをつかまえることができませんでした。この経験から2人は、スマートフォンから簡単に利用できる配車サービスのアプリケーションを開発します。
2010年には、サンフランシスコで配車サービスを開始しました。その後の流れは以下のとおりです。
2011年:パリで配車サービスを開始
2014年:相乗りサービスのUber Pool(ウーバープール)をサンフランシスコで開始
2015年:配車サービスの利用回数が累計10億回を突破
2017年:貨物運送マッチングアプリのUber Freight(ウーバーフレイト)を開始
現在、同社のサービスは月間約1億6,100万回利用されており、全世界に約780万人のドライバーと配達員がいます。
経営理念
Uberは、ミッションに「We reimagine the way the world moves for the better(私たちは世界がより良い方向へ進む手段を再構築します)」を掲げ、8つの価値観を重視しています。
- 正しいことをする
そのままの意味で、正しいことをすることを重視しています。
- 成し遂げる
奉仕する人々のために全力を尽くし、困難を受け入れ、逆境を克服し、勝利するためにプレーすることです。
- 移動にこだわる
ドライバー・利用者・店舗に対して、適切でバランスの取れた移動を提供することです。
- 心を込めて作る
同社の製品は人々の生活に大きな影響を与えるため、その影響を深く気にかけることです。
- 安全に備える
プラットフォームを利用するすべての人にとって、Uberをより安全にするために絶え間なく追求することです。
- 森と木を見る
全体像と詳細を把握することです。
- One Uber
個人やチームのためではなく、Uberにとって最善のことを行うために協力することです。
- 賢い人は同じことを考えない
多様性を追求して反映することで、世界に利益をもたらすより良い意思決定を下すことです。
サービス
Uberが展開している主なサービスは以下の3つです。各サービス内容と特徴を紹介します。
- 配車サービス(ウーバーエックス)
ウーバーエックスは、一般のドライバーが運転する自家用車をアプリケーションでタクシーのように呼べる配車サービスです。同プラットフォームで、「車に乗りたい人」と「車に人を乗せて稼ぎたい人」をマッチングしています。世界中の10,000以上の都市、700以上の空港で同社の配車サービスを利用できます。
- フードデリバリー(ウーバーイーツ)
フードデリバリーのウーバーイーツは、簡単に言えば出前の代行サービスです。飲食店からプラットフォームを介して依頼があると、配達パートナーは飲食店に食品を取りに行き、消費者である注文者に食品を配達します。飲食店は簡単に出前に対応できるようになり、消費者は食品を買いに行く手間が省け、さらに配達パートナーは報酬を得られます。
- 荷物配送サービス(ウーバーダイレクト)
荷物配送サービスは、荷物を指定の場所までドライバーが取りに来て、配達先まで届けてくれるサービスです。ウーバーイーツと同様に、配達ドライバーはプラットフォーム上で依頼を受注すると、アプリケーションに従って荷物を配達することで報酬を得られます。
Uberの経営状況
Uberの経営状況として、直近6年間の売上高と営業利益の推移を紹介します。
参考:Uber「Financials」
2023年度の売上高は372億ドル(5兆5,800億円)で、2022年度の318億ドル(4兆7,700億円)から54億ドル(8,100億円)増加しました。2023年度の営業利益は11億ドル(1,650億円)で、2022年度の18億ドル(2,700億円)の赤字から29億ドル(4,350億円)増加し、初めて黒字化を達成しました。売上高と営業利益が増加した要因として、モビリティ事業の好調が挙げられます。※1ドル=150円換算
なお、これまで赤字が続いていた要因は、「ドライバーに支払う報酬が高額」「参入障壁の低さによる競争の激化」「ユーザー獲得のための膨大な広告費」などが挙げられます。
また、地域別売上高の構成割合は以下のとおりです。
参考:Uber「Financials」
グラフから、アメリカ・カナダとヨーロッパ・中東・アフリカがUberの主要地域と言えます。
Uberの事業別売上高の推移
Uberの経営状況を深掘りするために、事業別の売上高に焦点を当てて解説します。まずは、事業別売上高の構成割合です。
参考:Uber「Financials」
さらに、各事業の内容や売上高の推移を紹介します。
モビリティ事業
モビリティ事業は主に配送サービスやタクシーなど、顧客の移動に関する事業です。売上高の推移は以下のとおりです。
参考:Uber「Financials」
2023年度の売上高は198億ドル(2兆9,700億円)で、2022年度の140億ドル(2兆1,000億円)から58億ドル(8,700億円)増加しました。売上高が大幅に拡大した要因として、旅行者などの配送サービスの需要増が挙げられます。
配達事業
配達事業はフードデリバリーに関する事業です。売上高の推移は以下のとおりです。
参考:Uber「Financials」
2023年度の売上高は122億ドル(1兆8,300億円)で、2022年度の109億ドル(1兆6,350億円)から13億ドル(1,950億円)増加しました。売上高が拡大した要因として、フードデリバリーの注文数の増加が挙げられます。
貨物事業
貨物事業は輸送や物流に関する事業です。売上高の推移は以下のとおりです。
参考:Uber「Financials」
2023年度の売上高は52億ドル(7,800億円)で、2022年度の69億ドル(1兆350億円)から17億ドル(2,550億円)減少しました。売上高が落ち込んだ要因として、貨物量の減少が挙げられます。
初の黒字化を達成したUberの今後に注目
Uberはアメリカに本社を置き、世界70カ国の10,000都市において、配車サービスやフードデリバリーのプラットフォームを展開している企業です。そのUberはアフターコロナとなり配車サービスの需要が伸びたことで、2023年度に初めて黒字化に成功しました。
さらに、2024年10月にはイギリスの旅行予約サービスExpediaを買収し、スーパーアプリ化することを検討していると報道されています。スーパーアプリとは、1つのプラットフォームに多種多様な機能を搭載したアプリケーションです。
この買収が実現すると、Uberのサービスは利便性が高まり、影響力もさらに高まると考えられます。そのため、今後の同社の動向に注目しましょう。
参考:BUSINESS INSIDER「ウーバー、旅行予約サイト買収はスーパーアプリへの第一歩か」