重機・建設機械メーカーのキャタピラーとは!会社概要や業績を徹底解説

インフラを整備するために不可欠なのは、ショベルカーやダンプトラックなどの建設機械です。その建設機械メーカーで世界トップシェアの企業はキャタピラーです。

今回はキャタピラーについて詳しく知りたいという方に向けて、会社概要や経営状況、成長戦略を徹底解説します。

キャタピラーとはどのような企業?

出典:キャタピラー

キャタピラーは、アメリカに本社を置く重機・建設機械のメーカーです。この章ではキャタピラーの会社概要や事業内容、歴史について紹介します。

会社概要

キャタピラーの会社概要は以下のとおりです。

会社名Caterpillar Inc.
本社アメリカ
設立1925年
従業員数113,200人(2023年末時点)
拠点数  世界に500カ所
売上高671億ドル(2023年)

キャタピラーは建設機械や天然ガス用エンジン、産業用ガスタービン、ディーゼル電気機関車を製造している企業で、特に建設機械メーカーとして知られています。その証拠に、Statistaの「2022年 世界の建設機械メーカーの売上高ランキング」において、世界1位を獲得しました。

事業内容

キャタピラーの事業内容は、建設機械・各種アタッチメント・発電システムの開発・販売です。

建設機械はダンプトラックやブルドーザ、油圧ショベルなど300種類を超える製品を展開しています。顧客のニーズに対応するために、建設機械をカスタマイズできる各種アタッチメントも開発しています。多種多様な製品により顧客の課題解決に貢献できるのが同社の強みです。

その強みから世界で400万台の製品が利用されています。

また、85年以上にわたり発電システムの開発に携わっており、各地域の業界や企業に電力を提供しています。

歴史

1925年、Holt Manufacturing CompanyとC.L. Best Tractor Co.が合併し、Caterpillar Tractor Companyを設立したことがキャタピラーの始まりです。

Holt Manufacturing Companyはベンジャミン・ホルト氏が率いる会社で、世界で初めてブルドーザの商業化に成功しました。ベンジャミン・ホルト氏は、ぬかるんだ土地でも作業できるように履帯(りたい)を開発した人物です。履帯は鋼板を帯状にした走行装置で、動作の様子からキャタピラー(芋虫)と呼ばれ、社名の由来となっています 。

※履帯(イメージ写真)

C.L. Best Tractor Co.はC.L.ベスト氏が率いる会社で、ガソリンテクノロジーを取り入れた製品で顧客のニーズを捉えていました。

ベンジャミン・ホルト氏と C.L.ベスト氏は長らくライバル関係にありました。しかし、戦後に機械の過剰供給が原因でトラクタ市場が低迷したため、両社の強みを生かすために合併することになったのです。

その後、製造ラインの拡張や海外進出を推進し、建設機械メーカーの世界1位としての地位を確立します。

キャタピラーの経営状況

キャタピラーの経営状況を売上高・営業利益の推移から考察します。直近6年間の売上高・営業利益の推移は以下のとおりです。

参考:キャタピラー「Reports Archive

2023年の売上高はキャタピラー史上最高額の671億ドル(約10兆650億円)で、前年より77億ドル(約1兆1,550億円)の増加となりました。営業利益も2022年の79億ドル(約1兆1,850億円)から、2023年の130億ドル(約1兆9,500億円)に急拡大しました。※1ドル=150円換算

また、2022年と2023年の地域別売上高の構成割合は以下のとおりです。

参考:キャタピラー「Reports Archive

※EAMEはヨーロッパ・アフリカ・中東の意味です。

2023年は北米での業績が好調で、全体に占める割合も2022年の47.1%から51.6%に増加しています。

キャタピラーの事業別売上高の推移

キャタピラーが2023年に売上高が増加した背景を事業別売上高の推移から考察します。まずは、事業別売上高の構成割合の紹介です。

参考:キャタピラー「Reports Archive

3つの事業の中で特に売上に貢献しているのは、「エネルギー及び輸送」と「建設」事業です。このことを押さえた上で、各事業の売上高・営業利益の推移を紹介します。

Energy&Transportation(エネルギー及び輸送)

エネルギー及び輸送は石油・ガス・発電・船舶・鉄道産業に向けて、タービンやディーゼル電気機関車、関連部品などの開発・販売をしている事業です。売上高・営業利益の推移は以下のとおりです。

参考:キャタピラー「Reports Archive

2023年の売上高は280億ドル(約4兆2,000億円)で、2022年と比較すると42億ドル(約6,300億円)の増加となりました。これほど大幅な増加を達成した背景は、製品の販売量の増加と値上げを実施したためです。

2023年の売上高の増加に大きく貢献した事業と言えます。

Construction Industries(建設)

建設事業の事業内容は、建設工事で使われる建設機械類の開発・販売です。売上高・営業利益の推移は以下のとおりです。

参考:キャタピラー「Reports Archive

2023年の売上高は274億ドル(約4兆1,100億円)で、2022年と比較すると21億ドル(約3,150億円)の増加となりました。営業利益も69億ドル(約1兆350億円)で大幅に増加しています。

大幅に増加した要因は北米の業績好調に加えて、製品の値上げです。ラテンアメリカやEAMEにおいては、販売量の減少を製品の値上げが相殺しました。ただし、アジア太平洋地域では販売量の減少と為替の悪影響により売上が減少しています。

Resource Industries(資源業界)

資源業界の事業内容は、採掘及び砕石産業向けの製品の開発・販売です。売上高・営業利益の推移は以下のとおりです。

参考:キャタピラー「Reports Archive

2023年の売上高は135億ドル(約2兆250億円)で、前年と比較すると10億ドル(約1,500億円)の増加となりました。2023年に売上高・営業利益が増加した要因は、製品を値上げしたことです。

つまり、3事業の全てで値上げを実施したことが2023年の売上高の増加につながったと言えます。

キャタピラーの成長戦略

キャタピラーが大きく成長を遂げた背景に、同社の掲げる成長戦略があります。その成長戦略の中でも特に重要視している項目は以下の2つです。

  • サービス

アフターサービスやメンテナンス、融資などのサービスを強化することで、顧客の成功の支援や優れた顧客体験の提供を目指しています。

  • 製品展開の拡大

顧客のニーズに応えるために製品展開の拡大を続け、製品ラインナップを強化することで、顧客満足度の向上を目指しています。

世界1位のキャタピラーの動向に注目しよう

キャタピラーは建設機械の売上高ランキングで世界1位を誇るメーカーです。2023年には値上げを実施したことで売上高が増加しました。しかし、キャタピラー製品の価格変動は様々な業界に大きな影響を与えています。今後も価格変更などの動向に注目しましょう。

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