Sherwin-Williams(シャーウィン・ウィリアムズ)とはどんな会社? 

Sherwin-Williams(シャーウィン・ウィリアムズ)は150年以上の歴史を持つ、塗料のNo.1企業です。 

Sherwin-Williamsの塗料は、世界中の建築物に使われています。世界的に有名なハリウッドサインもその一例です。 

本記事ではSherwin-Williamsについて詳しく知りたい方に向けて、会社概要・経営状況・成長戦略を紹介します。 

Sherwin-Williamsとはどんな会社 

出典:Sherwin-Williams 

Sherwin-Williamsはアメリカに本社を置く塗料メーカーです。工業用・商業用・小売り用の塗料・コーティング・床材の製造・販売を行っています。ここでは、会社概要・企業風土・事業内容を紹介します。 

会社概要 

Sherwin-Williamsの会社概要は以下のとおりです。 

会社名 The Sherwin-Williams Company 
設立 1866年 
本社 アメリカ 
従業員数 64,000人 
製造・流通拠点数 136拠点 
売上高 230億ドル(2023年) 

Sherwin-Williamsは北米を中心に5,000店舗以上を運営し、世界120カ国以上に製品を展開しています。2017年にアメリカの大手塗料メーカーのValsparを113億ドルで買収したことで、世界有数のメーカーとなりました。 

企業風土 

Sherwin-Williamsは、「Living our values to create a more colorful world (私たちの価値観を実践して、よりカラフルな世界を創造する)」をモットーに、以下の3つを柱に掲げています。 

  • Reducing our Environmental Footprint(環境フットプリントの削減) 

温室効果ガス排出量や廃棄物の削減、再生可能エネルギーの増加、エネルギー効率の改善に取り組んでいます。 

  • Expanding our Product Blueprint(製品設計図の拡張) 

サステナビリティ・バイ・デザイン(環境に配慮した設計)の推進のことです。 

  • Extending our Social Imprint (社会的影響の拡大) 

従業員の愛社精神や帰属意識の向上のために、地域社会の支援に重点を置いています。  

これらの3つの取り組みにより、Forbesの「America’s Best Large Employers 2023:(アメリカで最も働きがいのある企業100選)」でトップ100にランクインしました。 

また従業員同士の団結、ステークホルダーや地域社会との連携のために以下の7つの価値観を重要視しています。 

  • Integrity:誠実な経営 
  • People:従業員のために安全で健康的な職場環境の実現 
  • Service:プロフェッショナルなサービス 
  • Quality:継続的な改善による高い品質 
  • Growth:企業の持続可能な成長 
  • Innovation:創意工夫と想像力の活用により、先駆的な製品を提供 
  • Performance:成果に見合った評価や報酬 

事業内容 

Sherwin-Williamsの主要事業は以下の3つです。それぞれの事業内容と主力製品を紹介します。 

  • Paint Stores Group(ペイントストア・グループ) 

Paint Stores Groupは、Sherwin-Williamsブランドの販売店を運営している事業です。アメリカに4,353店舗、カナダに256店舗、カリブ海地域に85店舗を展開しています。主力製品は、塗料・ステイン・コーキング材・船舶用塗料・スプレー関連製品などです。 

  • Consumer Brands Group(コンシューマー・ブランド・グループ) 

Consumer Brands Groupは、建築用塗料やプライベートブランドを手掛ける事業です。建築用塗料や木材防腐剤、コーキング材などを販売しています。 

  • Performance Coatings Group(パフォーマンス・コーティングス・グループ) 

Performance Coatings Groupは、工業用の塗料を製造・販売する事業です。工業用や自動車用塗料、木材用塗料などを手掛けています。 

Sherwin-Williamsの経営状況 

Sherwin-Williamsの経営状況を売上高・純利益の推移から考察します。売上高・純利益の推移は以下のとおりです。

 

参考:Sherwin-Williams「Annual Reports & Proxy Statements」 

Sherwin-Williamsは売上高の推移より、成長を続けている企業といえます。とくに、2017年のValsparの買収以降は大幅に増加しました。さらに、新型コロナウイルスが流行した2020年~2022年にかけて、売上高が伸びているのもSherwin-Williamsの特徴です。 

また、Sherwin-Williamsは地域別の売上高を公表していないため、税引前利益の海外比率を紹介します。 

参考:Sherwin-Williams「Annual Reports & Proxy Statements」 

Sherwin-Williamsは世界120カ国以上に展開しているものの、税引前利益の9割はアメリカ国内市場によるものです。 

Sherwin-Williamsの事業別売上高の推移 

Sherwin-Williamsの経営状況を事業別に考察します。まず、Sherwin-Williamsの事業別売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:Sherwin-Williams「Annual Reports & Proxy Statements」 

北米を中心に店舗を運営しているPaint Stores Groupが全体の半分以上を占めています。 

なお、2023年のPaint Stores Groupの売上高は128億ドルでした。次いでPerformance Coatings Groupの68億ドル、Consumer Brands Groupの33億ドルと続きます。 

この章では、さらに各事業の売上高の推移から成長事業を考察します。 

Paint Stores Group 

Paint Stores Groupの売上高の推移は以下のとおりです。 

参考:Sherwin-Williams「Annual Reports & Proxy Statements」 

Paint Stores Groupは堅調に成長している事業で、2023年は過去最高の売上高を達成しました。商業用や住宅用製品の需要増が売上高を押し上げた要因です。 

また2017年より急拡大していることから、Valsparの買収でアメリカの販売強化を図った戦略が成功していることも伺えます。 

Consumer Brands Group 

Consumer Brands Groupの売上高の推移は以下のとおりです。 

参考:Sherwin-Williams「Annual Reports & Proxy Statements」 

2023年は、前年と比較すると若干の減少でした。要因は北米におけるDIY需要の減少で、高インフレが消費者の消費行動に影響を与えたと考えられます。しかし、非中核事業を売却したことで、前年比とほぼ同水準を維持しています。 

Performance Coatings Group 

Performance Coatings Groupの売上高の推移は以下のとおりです。 

参考:Sherwin-Williams「Annual Reports & Proxy Statements」 

Performance Coatings Groupも好調で、2023年は68億ドルの売上高を達成しました。主な要因は、自動車用補修塗料の急成長による売上拡大です。 

また、2016年の売上高と比較すると3倍以上に拡大しており、Sherwin-Williamsの急成長を支えている事業といえます。 

Sherwin-Williamsの成長戦略 

Sherwin-Williamsの製品は、色の豊富さや再現性の高さに加えて、F☆☆☆☆(エフフォースター)を取得した高い安全性が魅力です。 

エフフォースターとは、日本のJIS企画でホルムアルデヒドの放射速度を示す最上位の等級です。なおホルムアルデヒドはシックハウス症候群を引き起こす物質として、使用が制限されています。 

またSherwin-Williamsのエフフォースター認証の塗料は、規制の厳しい欧米の基準を満たしており、トルエン・キシレン・水銀なども含んでいません。 

つまり、Sherwin-Williamsは品質の高さに加えて、安全性を追求することで消費者から選ばれているといえます。 

その証拠に、13年連続で売上高の記録更新を達成しています。 

世界の塗料市場は人口増加を背景に成長 

塗料はインフラの整備に欠かせない製品です。そのため、塗料市場は世界の人口増加を背景に成長を続けています。 

Fortune Business Insightsの「塗料とコーティング」によると、2023年の塗料およびコーティング市場規模は2,065億ドルでした。そして、2032年までに3,000億ドルを突破する見込みです。 

Sherwin-Williamsはこのような市場の影響を受けて、好調を維持しています。また新型コロナウイルスの流行期も売上拡大に成功した企業なので、経営戦略などは参考となる部分が多いでしょう。 

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