中国マーケティングのカギを握る中国Z世代。中国Z世代の趣向・行動、消費動向を紹介

読者の皆様は何世代に属しますか?筆者は1980年~94年生まれの「ミレニアル世代(Y世代)」です。その前(1964~80年頃)に生まれた世代は「X世代」、そして1995年~2010年頃に生まれた人たちは「Z世代」と呼ばれます。

この世代の呼び方は米国が主に用いている世代分類法に倣っているようです。

今回はこれからの社会を引っ張っていく中国のZ世代に焦点を当てたコラムです。

 

中国Z世代の特徴

中国のZ世代は2億6000万人、全体の人口の18.2%を占めています。

Z世代には社会人になりたての人たち、大学生、高校生などが含まれます。これからのあらゆる市場の主役になる若者たちですね。まずは、彼らがどのような特徴があるか紹介します。

 

一人っ子

彼らは1979年に施行され2017年まで続いた「一人っ子政策」の中で生まれた世代です。そのため特殊な状況を除きほとんどが一人っ子。ミレニアル世代も一人っ子ですが、一つ違いがあります。幼少期にミレニアル世代になくて、Z世代にあったものといえば…インターネットです。

 

ネットネイティブ

中国のみならず、世界各国のZ世代は生まれた時からインターネット、スマートフォンが生活の一部として存在していたネットネイティブです。

とりわけSNSは多くの人たちと交流できる重要なツールであり、特に一人っ子として生まれた中国Z世代にとっては孤独を埋める癒しでもあったのです。

 

また、日本のニコニコ動画が始めた「naka」と呼ばれる配信中の映像にリアルタイムでコメントが流れるサービス。中国ではZ世代と言えばただ動画を視聴するだけでなく、「naka」を使用して自身も動画への「参加」を楽しんでいた世代だと考えられています。

naka

https://www.xiaoguokeji.com/news/2210

 

中国Z世代は高級品志向?

米OC&Cストラテジー・コンサルタンツの調査

米コンサルティング企業のOC&Cストラテジー・コンサルタンツは2019年、米国、トルコ、英国、中国など全世界のZ世代1万5500人を対象に消費に関する調査を実施しました。中国人はその中に2000人ほど含まれています。

 

結果、ひと月当たりの家計支出に占める中国Z世代の消費割合は15%にも上ることが判明します。また、OC&Cが2018年に行った別の調査では、調査対象の中国Z世代の半数が1年以内に5万元(約80万円)以上する高級品を購入していことも明らかになりました。

 

中国青年報の反論

ただ、この結果に対しては中国青年報がオンライン版に反論記事を掲載しています。同メディアはZ世代との接触やネットでの発言分析を通じ、OC&Cの調査結果を「懐疑的だ」と批判しています。

中国Z世代2

http://qnck.cyol.com/html/2019-03/21/nw.D110000qnck_20190321_1-14.htm

 

記事はZ世代の事例を紹介。ある男子大学生は裕福な家庭の出身でハルビンの名門大学に通っています。しかし同年代の友人に「高級志向」の人はいないと話し、ブランド品は一度、カナダグースのダウンジャケットを祖父の誕生日祝いに購入したことがあるのみです。その購入費用には奨学金を充てています。

 

また、別の米国に留学する学生がファッションや高級品を「消費主義の落とし穴」と考え、知識欲を満たすものにお金を使う事こそスタイリッシュな消費だと認識していると伝えています。同学生は茶道や中国民謡など趣味のもので、自身が気に入れば値段は気にせず買うと話しています。

 

ネットでも反論

さらに、ネット上ではOC&Gの調査について「この調査対象ってどんな人たち?」「裕福な家庭の子どもだけがZ世代だとでも思ってる?」などの発言もあるようです。中国の若い世代は高級志向、との記事を筆者も何度か見ましたが、一概には言えないようですね。

 

お金の借り入れに抵抗が薄い世代

Z世代が高級志向だとは一概には言えませんが、「消費意欲が旺盛な傾向にある」とは言えるようです。

 

花唄ユーザーの40%が90年代以降に生まれた若者

中国メディアの贏商網はアント・グループが提供する消費者金融サービス「花唄(ファーベイ)(ANT CHECK LATER)」のユーザーの40%が90年代以降に生まれた若者であり、同年代生まれの4人に1人が同サービスを使用していることを紹介しています。

ANT CHECK LATER

https://baijiahao.baidu.com/s?id=1690125837657811037&wfr=spider&for=pc

 

欲しいものは一旦借お金を借りてでも購入したいという感覚で、借り入れに抵抗がない「楽観的消費主義」な世代だと分析。別のメディアでも、70年代~80年代を「節約消費型」と称しているのに対し、90年代以降に生まれた世代を「借り入れ消費型」と称しています。

 

返済遅延率はごくわずか

贏商網によると、同世代のファーベイユーザーのうち返済遅延率は1%ほどです。他の世代に比べて良質な教育を受けてきた彼らは厳格な道徳感も持ち合わせており、借り入れを利用するのは返す能力があると自負している、と伝えています。

 

Z世代がモノを購入する際重視するもの

口コミ

Z世代が買い物の際に重視するもの、それは「口コミ」「信頼性」です。今、Z世代向けにテレビや雑誌で芸能人を起用した大々的な広告では効果は薄いと言われています。芸能人はあまりに遠い存在で、彼らにとっては身近なSNSの口コミが信頼に値するのです。

 

あるZ世代の若者は、自身の体型と似たKOL(キー・オピニオン・リーダー)をフォローし、そのKOLが着用した服の写真や使用感をチェックした上で同じ服をネットで購入しているといいます。

KOL

https://www.chaitopi.com/2020/12/24/china-generation-z/

 

KOLはファンのコメントやメッセージに返信してくれることも珍しくありません。芸能人より身近に感じやすい存在のKOLの感想は信頼でき、自身が着た際のイメージを持ちやすいのでしょう。

 

互換性ツール

今やネットでの買い物は当たり前。ただ、日本のようにただ商品を見て「ポチる」のではなく、現在の中国ではライブストリーミングや動画配信を見て、気に入った商品をそのまま購入するのが主流です。

 

ライブストリーミングは淘宝直播(タオバオライブ)が2020年のGMV(流通取引総額)目標を5000億元(約7兆8000億円)に設定するなど、爆発的に成長しています。今後もZ世代の購買意欲がこの分野を下支えしそうです。

KOL2

https://www.sohu.com/a/360567979_120114194?scm=1002.44003c.fe01b4.PC_ARTICLE_REC

 

重視するのはコスパより「自分が喜ぶかどうか」

中国メディアの36Krは、ネットネイティブとして生まれ、豊富な情報に触れて育ったZ世代は良い物を選ぶ審美眼が養われていると紹介しています。

 

名の知れたハイブランド製品やコストパフォーマンスの良さよりも、商品が出来た物語や込められた思いを大事にし、自分を喜ばせてくれるものかを真剣に考えて購入する傾向にあるようです。

 

Z世代は何を買う?

ここでは中国のZ世代の間で何が購入されているのか、具体例を見ていきたいと思います。

 

二次元関連商品

中国のZ世代は他の世代と比較して、アニメや漫画などの二次元文化に触れながら成長した世代と言えます。ある中国メディアは二次元を好む若者のコメントとして以下のような内容を紹介しています。

 

「二次元の世界でこそ共鳴、癒し、愛を見つけられる」

「単純にACG(アニメ、マンガ、ゲームを英語表記にした際の頭文字を取ったもの)作品が好き。この空間にいると温もりを感じられる」

「自分の周囲にはACGが好きな人はいない。だから自分は彼らとは違う存在でありたい」

 

現実の世界と比較して、二次元の世界は単純で面白く、視聴者を勇気づける内容もあることから多くの人に癒し、温もりを与えてくれると考えられているようです。

 

中国国産のアニメ・マンガが人気に

アニメやマンガといえば日本産が中国でも長く人気でしたが、近年は中国産が存在感を増しています。

中国アニメ、マンガの利用者数は2019年には3億8000万人に達し、そのうち1990年~2000年生まれの若いユーザーが6割を占めていることが報告されています。

中国アニメ市場

出典:芸恩「中国動漫行業IP価値研究報告」

 

ちなみに、上図にある「9000岁(歳)」は中国では同期間に生まれた若者のことを指す呼び方です。90と00をかけ合わせているのです。9000歳人口は二次元分野の消費主力軍として期待されています。

 

なお、2020年~2022年には中国アニメ・マンガ市場規模が爆発的に拡大し、2000億元(約3兆2124億円)に達すると予想されています。

 

ゲームやアニメとのコラボ商品も人気

二次元文化への関心の高まりを商機と捉え、多数のコラボ商品も販売されています。例えば化粧品ブランドのM・A・Cは中国のネットサービス大手、テンセントのスマホゲーム「アリーナ・オブ・ヴァラー」とコラボした口紅を数量限定で販売しファンの間で大人気となりました。

中国アニメ市場2

https://zj.qq.com/a/20190129/004779.htm

 

また、中国の大人気恋愛ゲーム「恋与制作人(恋とプロデューサー)」とはヘアケアブランドのLUXがタッグを組み販売したシャンプー、コンディショナーのセット商品も爆発的人気を博したようです。

中国アニメ市場3

https://creative.adquan.com/show/47785

 

漢服(漢民族伝統衣装)

中国時代劇「琅琊榜(ろうやぼう)~麒麟の才子、風雲起こす~」や「永遠の桃花~三生三世~」の人気を受けて、漢民族伝統衣装である「漢服」が若い世代に注目されています。中国国内の大学で「漢服サークル」が組織されているところもあるほどです。

中国アニメ市場4

琅琊榜劇中カット

https://baijiahao.baidu.com/s?id=1690227513874096448&wfr=spider&for=pc

 

広東省伝統文化促進会漢服文化委員会によると、世界の漢服文化サークル数は2017年の1300団体から2019年には2000団体になり、2年で46%増加しています。中国の漢服市場における消費者は200万人を超え、市場規模は約11億元(約177億円)とされています。

中国アニメ市場5

 

アートトーイ

Tmallが2019年に公表した「95后玩家剁手力榜单(95年以降出生の若者に人気の玩具ランキング)」では、アートトーイ(日本語らしい表現では「フィギュア」)が1位となっています。

中国ポケモン

Tmall「95后玩家剁手力榜单」より。NO.1の「手办」は「フィギュア」や「組み立て玩具」の意味

http://www.baogaolaile.com/3621.html

 

同サイトによると、20万人近いユーザーが年間でブラインドボックスに約2万円(約33万円)を費やしています。その他4カ月で20万元(約326万円)使ったユーザーや、一年で70万元(約1140万円)以上つぎ込んだユーザーもいるようです。

中国アニメ6

フィギュアは、中に何が入っているかわからない「盲盒(ブラインドボックス)」入りのものが大人気です。アリババグループの傘下である中古品販売サイトの閑魚は同サイトを通じた2020年のブラインドボックスの取引件数が44万件を超えたと公表しています。

中国アニメ7

https://36kr.com/p/963276029300231

 

また、同年11月単月での取引総額は1億2000万元(約19億5000万円)に上っています。急速な成長ぶりから中国のメディアでは「盲盒経済」という言葉が使われるほどです。

 

ブラインドボックスの中でも特に人気なのが、泡泡瑪特(POP MART)のアートトーイ「Molly」や「Dimoo」です。キュートなデザインが特に若い女性の心を掴んでおり、Z世代以外だけでなくミレニアル世代の女性からも支持されています。

中国アニメ8

https://baijiahao.baidu.com/s?id=1656210376260328578&wfr=spider&for=pc

 

市場で期待値大のPOP MART

アートトーイのリーディングカンパニーでありPOP MARTは2020年12月11日、香港証券取引所に上場し、上場後の株価は大きく値上がりして77.1香港ドル(約1030円)、時価総額1065億香港ドル(約1兆4200億円)となり、大注目されています。

 

若い世代の消費意欲を体現

アートトーイの市場規模は2015年の63億元から2019年には207億元に達し、年平均で34.6%の成長を遂げてきました。2024年には市場規模763億元に「爆増」する見込みです。

Z世代市場規模

https://baijiahao.baidu.com/s?id=1669261528990639686&wfr=spider&for=pc

 

Z世代はコスパより「自分を喜ばせてくれるもの」に消費すると上述しましたが、彼らの消費感覚がアートトーイの成長に大きく寄与しているようです。

 

最後に

いかがでしたか?中国の消費をけん引していくZ世代を理解することは中国に進出する日系企業にとっても大変重要なポイントだと言えます。

今回のコラムが少しでもお役に立てば幸いです。

 

 

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