フィリピン財閥のGTキャピタル・グループとは?歴史や主要子会社 

GTキャピタル・グループ(以降は、「GTグループ」と言います。)は、フィリピン財閥の一つです。創業者のジョージ・ティ氏が築いたコングロマリットで、銀行・金融、自動車、インフラストラクチャー、保険、不動産開発の分野を中心に事業を展開しています。本記事では、GTグループの歴史や理念、主要子会社をわかりやすく解説します。 

GTグループとは 

出典:GTキャピタル・ホールディングス 

GTグループは、フィリピン国内の大手銀行である「メトロポリタン銀行」を中核とするコングロマリットです。ここでは、GTグループの歴史や理念を紹介します。 

歴史 

GTグループの歴史は、創業者のジョージ・ティ氏が1962年にメトロポリタン銀行を設立したのが始まりです。そして、1972年にフェデラルランドの前身であるフェデラルホームズを設立しました。以降、不動産開発事業により急速に成長しました。 

1988年に、トヨタ自動車株式会社とメトロポリタン銀行がトヨタ・モーター・フィリピンを設立。現在ではフィリピン国内最大の自動車メーカーに成長し、トヨタの高級ブランド「Lexus」の展開も担っています。1999年には、世界的な保険大手のAXAグループと合弁会社AXA フィリピンを設立し、保険事業に参入しました。 

2013年には、Global Business Power Corporation(GBPC)を買収し、電力事業におけるリーダーとしての地位を築きました。なお、オリックス株式会社は戦略的パートナーとしてGBPCに対して、資本参加をしています。 

GTグループは、その後も保険や住宅開発など、多くの分野の企業を買収して事業を拡大し、フィリピンを代表する財閥の一角を担うまでになりました。 

理念 

GTグループの理念として、次のようにビジョン・ミッション・バリューを定義しています。 

・ビジョン 

フィリピンを代表するコングロマリットとなり、投資したすべての分野で優位に立ち、フィリピンで最も求められる戦略的パートナーとなり、国家の持続可能な発展に大きく貢献する。 

・ミッション 

相乗効果のある事業ポートフォリオを構築し、国の持続的な発展に貢献する新しい分野を模索することで、ステークホルダーに長期的な価値を提供する。 

・バリュー 

ビジョンやミッションの実現のために、GTグループが重視しているバリューは次のとおりです。 

誠実さ:倫理的かつ道徳的な価値観を一貫して遵守すること 

卓越性:すべての製品およびサービスにおいて卓越したものを提供すること 

尊敬:個人の権利や意見の多様性を重視すること 

持続可能な価値創造:将来的に持続可能なステークホルダーの価値創造につながる取り組みをすること 

GTキャピタル・ホールディングスとは 

GTグループの持株会社は、GTキャピタル・ホールディングスです。この章ではGTグループの事業規模を把握できるように、GTキャピタル・ホールディングスの会社概要や経営状況を紹介します。 

GTキャピタル・ホールディングスの会社概要 

GTキャピタル・ホールディングスの会社概要は以下のとおりです。 

​​会​社名 GT Capital Holdings Inc. 
本社 フィリピン 
設立 2007年 
従業員 39,000人以上(2023年度) 
売上高 3,067億フィリピンペソ
(2023年度) 

GTキャピタル・ホールディングスの経営状況 

GTキャピタル・ホールディングスの経営状況として、同社の売上高と純利益の推移を紹介します。 

参考:GTキャピタル・ホールディングス「Annual Reports」 

2023年度の売上高は3,067億フィリピンペソ(7,668億円)で、2022年度の2,453億フィリピンペソ(6133億円)と比較して、614億フィリピンペソ(1,535億円)増加しました。また、2023年度の純利益は288億フィリピンペソ(720億円)で、2022年度の159億フィリピンペソ(398億円)と比較して、129億フィリピンペソ(323億円)増加しました。
※1フィリピンペソ=2.5円換算 

純利益は過去最高を記録し、その主な要因はメトロポリタン銀行の純利益が422億フィリピンペソ(1,055億円)で前年比29%増、トヨタ・モーター・フィリピンが138億フィリピンペソ(345億円)で前年比142%増を達成したことが挙げられます。 

また、GTキャピタル・ホールディングスの売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:GTキャピタル・ホールディングス「Annual Reports」 

メトロポリタン銀行は純利益への貢献が最も大きい一方、売上高が最も多いのはトヨタ・モーター・フィリピンです。つまり、GTグループの中核を支えているのは、メトロポリタン銀行の金融事業とトヨタ・モーター・フィリピンの自動車事業だと言えます。 

GTグループの主要子会社と事業内容 

GTグループの主要子会社として、5社の事業内容を紹介します。 

メトロポリタン銀行(Metropolitan Bank & Trust Company) 

メトロポリタン銀行は、フィリピン最大の商業銀行です。法人向け・個人向けの銀行業務、クレジットカード、送金サービスなど幅広い金融商品とサービスを提供しています。全国に940以上、海外に30以上の支店があり、国際的な金融ネットワークを構築しています。 

トヨタ・モーター・フィリピン(Toyota Motor Philippines Corp.) 

トヨタ・モーター・フィリピンは、トヨタ自動車株式会社の自動車の製造・輸入・販売を行っている企業です。GTグループは同社の51%、トヨタ自動車株式会社は49%の直接所有権を所有しています。2002年以来、乗用車販売・商用車販売・総販売で1位を獲得しており、フィリピンで最大手の自動車メーカーと言えます。 

メトロ・パシフィック・インベストメンツ(Metro Pacific Investments Corp.) 

メトロ・パシフィック・インベストメンツは、フィリピンに拠点を置く投資会社です。水道事業や有料道路、配電、病院への投資を通じて、フィリピンのインフラ資産の維持・開発に貢献しています。 

AXA フィリピン(AXA Philippines) 

AXA フィリピンは世界大手のAXAグループとGTグループの合弁会社で、フィリピン最大の保険会社の一つです。生命保険や投資連動型保険商品、健康保険、損害保険などを提供しています。 

フェデラルランド(Federal Land, Inc.) 

フェデラルランドは、フィリピンの大手不動産開発企業です。住宅用マンションやオフィスビル、商業センターなど多数の大規模開発に携わっています。 

GTグループは複数の日本企業と提携 

GTグループはフィリピンを代表する財閥の一つで、金融業や自動車事業を中心に事業を拡大してきました。トヨタ自動車株式会社やオリックス株式会社など、複数の日本企業と提携しており、それらの企業と戦略的パートナーシップを築くことで、持続的な成長を実現しています。 

また、GTグループとの協業は、日本企業にとってもフィリピン市場への参入や事業拡大といったメリットがあります。フィリピン進出を検討されている経営者様は、GTグループとの提携を検討してみてはいかがでしょうか。 

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