東南アジアにおける住宅関連の法整備から生じる課題と新たな市場形成の可能性

今回、東南アジアを対象に住宅セキュリティに関する調査を実施しました。
現状と、今後この市場がどう変化していくと予測できるのかについてお伝えいたします。

法律ができることで生まれる政府と国民との意識の差

東南アジアにおいて、住宅セキュリティ関連機器の設置が義務化されていくというお話を受け、今回、「各メーカー」「販売代理店」「小売店」「建築業者」に対して、現状と今後の対応についてのインタビュー調査を実施しました。

その調査を通じて浮かび上がってきた課題は、「国民が災害や住宅セキュリティのリスクに関して意識が低い」という点でした。この国では、災害が起こる頻度が少ないため、「もしものときに備える」という意識がなかなか国民に根付いていないのです。
また、「法律が新しくできたり、変更されたことで新しく機器などを購入してください」と政府から言われても、国民としては金銭面において負担がかかってしまいます。

政府としてもこれらの課題は認識しており、今後、リテラシー教育を行うことや、機器を設置していない者に対しては罰則としてペナルティを課すなどのルールや対策も検討することで住宅セキュリティに関する国民のリテラシーを高めていこうとしているようです。
また、金銭面の負担については補助金なども検討しているようです。

このように、法律を広めていきたい政府と災害や住宅セキュリティに関して関心の薄い国民との間でギャップができている状況のケースでは、市場概況だけでなく、ユーザーである国民側に視点を置いた調査も必要になってくると考えます。

プルーヴの調査では、
・国民がどういう機器を求めているのか
・どの程度の価格の商品を望んでいるのか
という表面的な課題を深掘りできると考えています。

それぞれの目線に合わせた調査を実施すること

プルーヴが実施している調査では、必ず、特定の対象者だけに取材するのではなく、様々な立場の視点から情報を集めていきます。
今回であれば、国の法律が変わった、あるいは変わるかもしれないという情報を得るだけではなく、それによって影響を受ける「各メーカー」「販売代理店」「小売店」「建築業者」という市場の各プレーヤーが、どのようなことを課題に思っているのかを深掘りしました。

「各メーカー」「販売代理店」「建築業者」は企業寄りの目線での課題を持っていたのに対して、「小売店」は消費者寄りの目線での課題を持っており、それぞれが異なる視点から課題を感じている点が印象的でした。

このように、法律が変わるということを政府・企業・消費者(国民)の3者それぞれの目線から見た時に、それぞれの立場を踏まえたヒヤリングをし、多面的な視点からの最適解を導いていくのがプルーヴの役目です。

東南アジアでの住宅セキュリティ関連機器市場の今後は

では、東南アジアでの住宅セキュリティ関連機器市場は、今後どのようなビジネスチャンスを生み出す可能性があるのでしょうか。

この国での法整備が進み、日本製の住宅セキュリティ関連機器が東南アジア市場に入り込むことができれば、東南アジア開拓の足掛かりにすることも可能です。
さらに、この国で災害やセキュリティリスクに対する意識が浸透していけば、少なからず周辺国へも影響があるでしょう。そうすれば、周辺国へ進出するチャンスにも恵まれるかもしれません。

このように、さまざまな国で新しく法律ができると、それに伴ったビジネスチャンスも生まれてくるのです。

また、ビジネスチャンスという視点でいうと、セキュリティ関連機器は新しいテクノロジーとの掛け合わせで新商品が登場しており、その性能はさらに進化すると予測されます。

住宅においては、さまざまな家電や機器をシステムによって一括管理し、効率的かつ快適な自動化された住まいを実現する「スマートホーム」が広がっていくと考えられています。
これが実現すれば、セキュリティ関連機器市場もさらに発展していくでしょう。

政府と国民のギャップが大きな市場であっても、安心で、お手頃で、使い勝手の良いセキュリティ関連機器を東南アジア市場に持ち込むことができれば、セキュリティ機器が未来の生活の一部へと自然と溶け込んでいく世界を創れるかもしれません。

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