NIKEとはどんな会社?会社概要と業績、ブランド戦略を解説

NIKEはアメリカに本社を置く、世界最大手のスポーツ用品メーカーです。スポーツフットウェアやアパレルを主に展開しています。本記事ではNIKEの会社概要や経営状況、ブランド戦略について紹介します。 

NIKEとはどんな会社 

出典:NIKE 

NIKEは世界各地に拠点を持ち、NIKE、Jordan(ジョーダン)、Converse(コンバース)のブランドを運営しているスポーツ用品メーカーです。deallabの「靴・シューズ・フットウェア業界の世界市場シェアの分析」では、2021年のフットウェア業界で世界1位のシェアを獲得しました。この章では同社の会社概要や歴史、企業理念を紹介します。 

会社概要 

NIKEの会社概要は以下のとおりです。 

​​会​社名 Nike, Inc. 
本社 アメリカ 
設立 1964年 
進出地域 40カ国以上 
店舗数 アメリカ国内:377店舗 
アメリカ国外:668店舗 
従業員数 79,400人(2024年5月31日時点) 
売上高 514億ドル(2024年度) 

※同社の会計年度の期間は6月1日から5月31日まで。 

歴史 

NIKEの歴史は、1964年にフィル・ナイト氏とビル・バウワーマン氏が共同で設立したブルーリボンスポーツから始まります。 

フィル・ナイト氏は、ランニングシューズの生産をドイツから人件費の安い日本に移すべきだという論文をまとめた人物です。一方、ビル・バウワーマン氏は大学の陸上競技チームのコーチとして、ランニングシューズに並々ならぬ情熱を持っていた人物です。そして、ビル・バウワーマン氏のランニングシューズの試作品を初めて履いたのが、同チームに所属していたフィル・ナイト氏でした。 

フィル・ナイト氏はブルーリボンスポーツを設立後、論文を実践します。具体的には、日本のオニツカタイガーと提携し、同社の製品をアメリカで販売することを始めました。 

オニツカタイガーと提携したことでビル・バウワーマン氏のユニークなアイデアが形となり、1968年に「タイガー コルテッツ」を発表します。同モデルは瞬く間に人気を博し、看板商品になりました。 

1971年に、ブルーリボンスポーツはオニツカタイガーとの提携を終了し、自社生産へ移行します。同年、NIKEの象徴的なロゴである「Swoosh(スウォッシュ)」がデザインされたシューズが発売されました。「スウォッシュ」がギリシャ神話の勝利の女神である「Nike(ニケ)」が翼を広げたようにも見えることから、シューズのブランド名と社名を「NIKE(ナイキ)」に変更しました。 

1970年代以降、NIKEは積極的な広告キャンペーンを展開し、市場シェアを急速に拡大します。1985年に、バスケットボール選手のマイケル・ジョーダン氏とタイアップしたシューズ「エア・ジョーダン」は、日本においても大ヒットを記録しました。 

企業理念 

NIKEはミッションとして、「世界中のすべてのアスリートにインスピレーションとイノベーションをもたらすこと」を掲げています。 

具体的に重要視している価値観は以下のとおりです。 

  • 画期的なイノベーションを生み出す 
  • 製品をより持続可能なものにする 
  • 創造的で多様性のあるグローバルチームを構築する 
  • 従業員の健康をサポートする 
  • 地域社会にプラスの影響を与える 

さらに、このような企業文化を育むために、従業員の成長と維持が不可欠としています。 

NIKEの経営状況 

NIKEの経営状況として、直近6年間の売上高と純利益の推移を紹介します。 

参考:NIKE「Investor Relations」 

2024年度の売上高は514億ドル(7兆7,100億円)で、2023年度の512億ドル(7兆6,800億円)と比較して、2億ドル(300億円)増加しました。また、2024年度の純利益は57億ドル(8,550億円)で、2023年度の51億ドル(7,650億円)と比較して、6億ドル(900億円)増加しました。売上高と純利益が増加した要因は、装備品やJordanブランドの好調が挙げられます。※1ドル=150円換算 

地域別売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:NIKE「Investor Relations」 

グラフから、各地域で売上を確保していることが分かります。 

NIKEの製品別売上高の推移 

NIKEの経営状況について、製品別売上高に焦点を当てて解説します。同社の製品別売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:NIKE「Investor Relations」 

グラフより、同社の主要製品はフットウェアとアパレルです。ここではさらに、製品別売上高の推移を紹介します。 

フットウェア 

フットウェアは、主にスポーツ用やカジュアル用のシューズです。同製品の売上高の推移は以下のとおりです。 

参考:NIKE「Investor Relations」 

2024年度の売上高は352億ドル(5兆2,800億円)で、2023年度の353億ドル(5兆2,950億円)と比較して、1億ドル(150億円)減少しました。売上高が減少した要因として、男性用・女性用・子ども用の一部製品の売上減少が挙げられます。Jordanブランドは成長しましたが、フットウェア全体では減少しています。 

アパレル 

アパレルは、スポーツ用やカジュアル用、レジャー用の衣類を主に販売しています。同製品の売上高の推移は以下のとおりです。 

参考:NIKE「Investor Relations」 

2024年度の売上高は139億ドル(2兆850億円)で、2023年度と同水準を維持しました。Jordanブランドの売上が減少したものの、子ども用の製品の売上が拡大したことで2023年度と同水準を維持しています。 

装備品 

装備品はバッグやソックス、ボール、メガネ、バット、手袋など、スポーツ用の装備品を指します。同製品の売上高の推移は以下のとおりです。 

参考:NIKE「Investor Relations」 

2024年度の売上高は21億ドル(3,150億円)で、2023年度の18億ドル(2,700億円)と比較して3億ドル(450億円)増加しました。ただし、売上高が好調の要因については公表されていません。 

NIKEのブランド戦略 

NIKEが世界最大手のスポーツ用品メーカーに成長した背景には、卓越したブランド戦略があります。ここでは、取り組みの一例を紹介します。 

  • アスリートとの連携 

1973年にアスリートを初めて宣伝広告に活用し、ブランドイメージの向上に取り組みました。 

  • 「エア・ジョーダン」の大成功 

1985年にバスケットボール選手のマイケル・ジョーダン氏と契約し、「エア・ジョーダン」を発表しました。同氏の人気に加え、テレビCMを放映することで認知度を高め、大ヒットを記録しました。「エア・ジョーダン」シリーズは現在も熱狂的なファンに支持されています。 

  • スローガンの「Just Do It」 

1988年に、テレビCMでスローガンの「Just Do It(とにかくやってみよう)」を前面に押し出し、限界に挑戦する「クール」なブランドイメージを確立しました。 

  • カニエ・ウェスト氏とのコラボ 

2007年に、アメリカの人気ラップミュージシャンのカニエ・ウェスト氏とコラボして発表したシューズは、すぐに完売するほどの人気を集めました。 

このように、同社はテレビCMや著名人を起用したマーケティングによって、ブランドの地位を確立するのに成功しています。 

NIKEのブランディングを参考にしよう 

NIKEはスポーツフットウェアやアパレルを主に販売しているスポーツ用品メーカーです。特にフットウェア関連の製品に人気があり、同社の売上高の68%を占めています。これは、同社がランニングシューズの販売から始まった歴史以外にも、著名人を起用したブランド戦略が要因と言えます。事業拡大や海外進出を検討している経営者様は、同社のブランディングの仕方を参考にしてみてはいかがでしょうか。 

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