シュナイダーエレクトリック(Schneider Electric)は、100カ国以上で事業を展開する電気機器・産業機器メーカーです。
同社は、「あらゆる人がエネルギーや資源を最大限活用することを可能にし、進歩と持続可能性を同時に実現すること」を目指しています。その結果、TimesとStatistaの「2024年世界で最も持続可能な企業」ランキングでトップを獲得しました。
本記事では、シュナイダーエレクトリックの会社概要や業績、成長戦略を詳しく紹介します。
シュナイダーエレクトリックとはどんな会社
シュナイダーエレクトリックは、フランスに本社をおく電気機器・産業機器メーカーです。この章では会社概要・歴史・事業内容を紹介します。
会社概要
シュナイダーエレクトリックの会社概要は以下のとおりです。
会社名 | Schneider Electric SE |
本社 | フランス |
設立 | 1836年 |
海外進出 | 100カ国以上 |
従業員数 | 約168,000人(2023年時点) |
売上高 | 359億ユーロ(2023年) |
歴史
シュナイダーエレクトリックは、1836年にシュナイダー兄弟がフランスのル・クルーゾの鉱山と鋳造所を買収したのが始まりです。その後の主要な出来事を以下にまとめます。
1891年:電力市場に進出
1919年:ドイツと東ヨーロッパに進出
1981年~1997年:鉄鋼・製造業から撤退し、戦略的買収により電気事業に注力
1999年:Lexel社を買収し、設備・システム・制御事業を強化
2000年~:設備インフラやビルディング・オートメーションなどの新しい市場へ大きくシフト
2010年:スマートグリッドの開発を加速
※ビルディング・オートメーションとは、建設施設の空調や電気、セキュリティ設備などの管理を自動化することです。
※スマートグリッドとは、電気の供給側と需要側の双方が電力量をコントロールできる送電網のことです。
事業内容
シュナイダーエレクトリックは、主に以下のソリューションに関する製品の製造・販売をしています。
・インダストリー(エネルギーマネジメント事業)
各種設備や装置など、生産現場の自動化・最適化を図るソリューションです。産業用コンピューターやデータ収集機器などを取り扱っています。
・ソーラー(エネルギーマネジメント事業)
高効率な太陽光発電向けソリューションです。
・エネルギー(エネルギーマネジメント事業)
効率的な受配電設備の設計・設置・運用を可能とするソリューションです。高圧遮断機や変圧器、電力監視制御システムなどを取り扱っています。
・データセンター(エネルギーマネジメント事業)
データセンターに関するソリューションです。
・ビルディング(エネルギーマネジメント事業)
ビルエネルギー管理システムに関するソリューションです。各種メーターや配線用遮断機、漏電遮断機などを取り扱っています。
・プロセス(産業用オートメーション事業)
プロセス産業の経営と操業の効率化に寄与するソリューションです。プロセスシミュレーションなどを取り扱っています。※プロセス産業とは、液体・ガスなどの形が一定でない材料を反応や合成などの工程を経て、製品を製造する産業のことです。代表例は、石油・化学・鉄鋼・製薬・半導体などです。
シュナイダーエレクトリックの経営状況
シュナイダーエレクトリックの経営状況として、直近6年間の売上高と営業利益の推移を紹介します。
参考:シュナイダーエレクトリック「Annual financial reports」
2023年の売上高は359億ユーロ(5兆3,850億円)で、2022年の341億ユーロ(5兆1,150億円)から18億ユーロ(2,700億円)増加しました。2023年の営業利益は59億ユーロ(8,850億円)で、2022年の49億ユーロ(7,350億円)から10億ユーロ(1,500億円)増加しました。※1ユーロ=150円換算
売上高と営業利益が3年連続で拡大しており、同社は順調に成長していると言えます。
また、地域別売上高の構成割合は以下のとおりです。
参考:シュナイダーエレクトリック「Annual financial reports」
北米の売上高が最も多く、その中でもアメリカにおける売上高は全体の29.4%の105億ユーロ(1兆5,750億円)でした。
シュナイダーエレクトリックの事業別売上高の推移
シュナイダーエレクトリックの経営状況を事業別の売上高から深掘りします。事業別売上高の構成割合は以下のとおりです。
参考:シュナイダーエレクトリック「Annual financial reports」
2023年の売上高の比率はエネルギーマネジメント事業が78.7%で、産業用オートメーション事業が21.3%でした。さらに、各事業の売上高とEBITAの推移を紹介します。※EBITAは、売上高から営業費用を差し引いた指標です。
エネルギーマネジメント事業
エネルギーマネジメント事業は、インダストリー・ソーラー・エネルギー・データセンター・ビルディング・インフラに関連する事業です。売上高とEBITAの推移は以下のとおりです。
参考:シュナイダーエレクトリック「Annual financial reports」
2023年の売上高は282億ユーロ(4兆2,300億円)で、2022年の264億ユーロ(3兆9,600億円)から18億ユーロ増加しました。2023年のEBITAは59億ユーロ(8,850億円)で、2022年の53億ユーロ(7,950億円)から6億ユーロ(900億円)増加しました。
売上高とEBITAが3年連続で拡大しており、エネルギーマネジメント事業は同社の成長を牽引している事業と言えます。
なお、2023年に成長した要因は、北米のデータセンター・インフラの需要拡大、イギリス・ドイツ・イタリア市場での好調があげられます。
産業用オートメーション事業
産業用オートメーション事業は、自動化に関連する制御装置などを開発・販売している事業です。売上高とEBITAの推移は以下のとおりです。
参考:シュナイダーエレクトリック「Annual financial reports」
2023年の売上高は76億ユーロ(1兆1,400億円)で、2022年の77億ユーロ(1兆1,550億円)から1億ユーロ(150億円)減少しました。2023年のEBITAは13億ユーロ(1,950億円)で、2022年の14億ユーロ(2,100億円)から1億ユーロ減少しました。
売上高とEBITAは減少したものの、直近6年間でみると高水準を維持しています。
シュナイダーエレクトリックの成長戦略
シュナイダーエレクトリックは成長戦略として、以下の5つのメガトレンドを推進しています。
・デジタル化とAI
大規模な言語モデルとAIの進化により、市場の成長が顕著です。そのような時代背景の中、多くのデータセンターが必要です。同社はこのメガトレンドを活用して、成長を目指しています。
・気候変動
同社は技術により課題解決に貢献することを目指しています。
・エネルギー転換
電化とエネルギー需要を拡大して、エネルギー転換に貢献することです。
・富の進化
先進国のインフラ刷新と新興国の新規建設から、同社が恩恵を受ける立場にあることを意味しています。
・新たな世界均衡
同社はサプライチェーンの進化とリショアリングにより世界の変化に対応し、さらなる自動化と電化のニーズに応えることを目指しています。
※リショアリングとは、海外拠点を国内に移す経営手法です。国内回帰とも呼びます。
まとめ
シュナイダーエレクトリックは、フランスに本社をおく電気機器・産業機器メーカーです。世界で最も持続可能な企業ランキングで1位に輝くなど、持続可能な社会の実現に向けて積極的に取り組む企業としても知られています。
同社は100カ国以上で事業を展開していることから、海外進出を検討されている企業様は協業の検討に加えて、海外進出の成功事例として参考にしてみてはいかがでしょうか。