マレーシア財閥のクオック・グループ(The Kuok Group)とは

2023年12月に日本とマレーシアの関係性は、「包括的・戦略的パートナーシップ」に引き上げられました。今後はエネルギー移行や脱炭素化などの多くの分野で協力関係の構築が期待されています。

そこでビジネスパーソンの中には、マレーシアへの進出を検討している方もいるでしょう。

今回はマレーシアに進出する前に押さえておきたい情報として、マレーシア財閥のクオック・グループの概要や事業内容について紹介します。

参考:外務省「日・マレーシア首脳会談

クオック・グループ(The Kuok Group)とは

出典:The Kuok Group

クオック・グループは、華人のロバート・クオック(郭鶴年)氏が率いるコングロマリットです。マレーシア・香港・シンガポールに拠点を置いているのが特徴で、各拠点の中心となるのは以下のとおりです。

  • マレーシア:クオック・ブラザーズ

1949年に創業し、物流や海運、不動産、農業関連の事業を展開しています。

  • シンガポール:クオック・シンガポール

1953年に設立し、海運や不動産、デジタルインフラなどの事業を展開しています。

  • 香港:ケリー・ホールディングス

1974年に設立し、不動産やワイン、物流などの事業を展開している企業です。

このように3つの拠点で幅広い事業を展開しているのがクオック・グループの特徴です。しかし、各拠点の主な企業は非上場企業のため、全体像を正確に把握するのが難しくなっています。その上で、ここからはクオック・グループの歴史や事業内容について紹介します。

歴史

クオック・グループは、1949年にマレーシアのジョホール・バルでクオック・ブラザーズの事業を開始したことが始まりです。クオック・ブラザーズは米や砂糖、小麦粉を扱う小さな家族経営の会社で、最初は兄のフィリップ(郭鶴挙)氏が代表者でした。しかし、フィリップ氏は後に外交官となり、ロバート・クオック氏が企業経営を担います。

マレーシアの事業で成功を収めたクオック・グループは、1953年にクオック・シンガポールを設立します。1966年には小麦粉製粉事業、1979年には動物飼料製粉事業を開始しました。1971年にはシンガポールのシャングリ・ラ・ホテルをオープンし、ホスピタリティ業界に参入します。

1974年にケリー・ホールディングスを設立し、香港と中国本土への事業拡大のための拠点となります。

参考:ニッセイ基礎研究所「アセアンにおける華人・華人企業経営(2)-アセアンにおける華人企業グループの形成・発展-

クオック・グループの事業内容

クオック・グループの特徴は、数多くの事業を展開していることです。そこで、クオック・グループについて理解を深めるために、ここでは10の事業を紹介します。

FFM Berhad:製粉事業

FFM Berhadは1962年に設立した企業で、マレーシア最大の製粉会社です。ベトナム・タイ・中国で製粉事業を展開しています。小麦粉製粉の1日あたりの生産能力はベトナムで2,050トン、タイで1,070トン、中国で1万7,950トンです。製粉事業以外には配合飼料製造や畜産、食品加工、ベーカリー、日用品の販売などの事業も展開しています。

Golden Screen Cinemas Sdn.Bhd:映画館事業

Golden Screen Cinemas Sdn. Bhd.は、マレーシアの55カ所に509のスクリーンを保有するマレーシア有数の映画館運営企業です。特徴的な取り組みにAURUM THEATRE(オーラム・シアター)があります。オーラム・シアターは豪華なリクライニングチェアで映画と高級ダイニングを楽しめる映画館です。

K2 Strategic Pte. Ltd:デジタルインフラ事業

K2 Strategic Pte. Ltd.はアイルランド(ダブリン)・シンガポール・香港を拠点に、デジタルインフラ事業を展開しているクオック・グループの完全子会社です。同社は大手テクノロジー企業にデータセンター環境を提供することで、インターネットやクラウドサービスなどのデジタルソリューションの基盤を構築しています。

Kerry Properties Limited:不動産事業

Kerry Properties Limitedは、1978年以降香港で不動産投資や開発に携わってきた企業です。1996年には香港証券取引所に上場しており、香港ハンセン総合指数の構成銘柄にも選ばれています。同社は主に中国本土と香港の主要都市にて、不動産開発を行っています。

Kerry Logistics Network Limited:物流事業

Kerry Logistics Network Limitedは世界60カ国の地域に拠点を構える物流企業です。特に中国本土・インド・東南アジアなど、アジアを拠点に総合物流や国際貨物輸送サービスを提供しています。なお、同社は香港証券取引所に上場しており、2023年の売上高は474億香港ドル(約8,295億円)でした。※1香港ドル=17.5円換算

Kerry Wines Limited:ワイン事業

Kerry Wines Limitedは、2010年に設立し、高級ワインを輸入・販売している企業です。「中華圏全体で高品質ワインを入手できるようにする」という使命を掲げており、世界中の有名ブランドのワインを提供しています。なお、同社は香港・北京・上海・深センに拠点を構えています。

Kuok(Singapore)Limited:デジタルインフラ・海運・不動産事業

Kuok (Singapore) Limitedはクオック・シンガポールの中核を担う持株会社です。シンガポールに拠点を構え、子会社を通じてデジタルインフラ・海運・不動産の事業を展開しています。

PACC Offshore Services Holdings Limited:海洋開発事業

PACC Offshore Services Holdings Limitedは、海洋開発事業により世界中の石油・ガス上流事業、再生可能エネルギー事業などを支援しています。具体的な事業内容は、海底建設サービスや曳航(えいこう)、船舶チャーターなどです。50隻を超える多様な船舶を保有しており、様々なニーズに対応しています。

Shangri-La International Hotel Management Limited:ホスピタリティ事業

Shangri-La International Hotel Management Limitedは、1971年にシンガポールに最初のホテルを開業して以来、「シャングリ・ラ」ブランドを中心にホスピタリティ事業を展開してきました。そして、ホスピタリティ事業以外に複合施設や住宅物件などの販売にも事業を拡大しています。現在では世界78カ所以上において、100棟以上のホテル・リゾートを運営・管理しています。

Wilmar International Limited:農業関連事業

Wilmar International Limitedはシンガポールに本社を置く農業関連企業です。1991年に設立し、現在ではアジアを代表する農業関連企業に成長しています。アブラヤシ栽培、油糧種子(ゆりょうしゅし)の粉砕、食用油の製造などの事業を行っており、世界に10万人以上の従業員を抱え、1,000以上の工場を有しています。

マレーシアに進出するならクオック・グループを押さえよう

マレーシア財閥のクオック・グループは、マレーシアだけではなく、香港やシンガポールにも大きな影響力を持っています。同地域へ進出するのであれば、基礎知識としてクオック・グループの事業内容などを押さえておきましょう。


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