工場進出検討企業が直面するマレーシア・ベトナム・フィリピンのごみ処理事情

ごみ処理やリサイクルに関する法令は国によって異なります。近年、アジア各国における取締りは厳しくなりつつあり、ごみ処理の最終責任は、排出事業者(工場側)が問われます。知らなかったでは済まないケースも発生しており、海外でビジネスをする上で、現地のごみ関連事情を把握することは重要となっています。

今回は、マレーシア、ベトナム、フィリピンのごみ処理の事情をお伝えいたします。

ごみ処理業者を選ぶ際の注意点

リサイクルが不可能なごみの処理について、極端に低い価格を提示してくる業者が存在しますが、違法な処理・埋立をしている可能性があります。政府が年々規制を強めているにも関わらず、不法なごみ処理が摘発されるケースは絶えません。摘発された場合、処理業者のみならず排出事業者も罰せられます。

例えば、マレーシアでは不法処理が摘発された場合、排出事業者は罰金かつ懲役(2017年に法改正)となり、取締りが強化されています。

業者を選定する際は、工場見学をさせてもらうことをおすすめします。快く工場見学をさせてくれる企業は、自社のサービスに自信があり、信頼できるところが多いです。大手企業との取引実績も確認できると良いです。

工場見学を断られたり、工場の一部しか見せてくれないといった対応をする企業は要注意です。CSRの観点からも、最適な処理業者・リサイクル業者を選ぶことが大切です。

ごみ処理の手順(各国共通)

▼Step1

自社の工場や施設で、どのようなごみが排出されるかをおおまかに把握します。

▼Step2

政府が管理するごみ処理業者リストを確認し、該当のごみ処理のライセンスを保有する業者を探し、コンタクトを取ります。

▼Step3

業者によって、値段や、緊急対応の可否、運賃有無など、サービスの詳細が異なりますので、直接会って確認する必要があります。同じ種類のごみであっても業者によって、処理・リサイクル費用を負担するケースと、買い取りしてくれるケースが存在するので、はじめにコンタクトを取った1社で確定するのではなく、複数社の中から慎重に業者を選定することをお勧めします。

多数のリサイクル業者が存在するマレーシア

マレーシアにおいて、最終的なごみ処理を行える企業は限られております。一方、リサイクルを行う業者は多数存在しており、各社が得意とするリサイクル処理方法や資源が異なります。

すべてのごみを一括で委託することも可能ですが、非常に高額なコストが発生するため、複数のリサイクル業者を使い分けることがおススメです。

各リサイクル業者で処理できなかったごみに関しては、別途、最終処理ができる業者に依頼するとよいでしょう。

廃棄物 ドラム缶
ドラム缶のリサイクル数がマレーシア国内No.1の業者
廃棄物 ドラム缶
ごみが入ったドラム缶を引き取り、洗浄したドラム缶を顧客要望に合わせて塗装して販売する

地域性が出るベトナムのごみ処理業者

ベトナムは経済連携協定やODA増加の影響で、外資系企業のベトナム進出や工場の設立が活性化しています。
ごみが年率8~10%増加すると予想されており、政府系企業だけでなく民間業者もリサイクル処理から埋立処理、焼却処理まで幅広く対応しています。

民間のごみ処理業者をいくつか訪問しました。多くは社長宅兼オフィスとなっており、社員が社長と寝食を共にして働いていました。社長宅兼オフィスの多くは、立派な門構えや大きな応接間、豪華な装飾品が印象的でした。

国土が縦に長いベトナムは、北と南でビジネススタイルが異なるのが特徴です。南部のホーチミンでは、社長自らが詳しく会社説明をしてくださいます。一方、北部の首都ハノイでは、社長は口を開かず腕を組みどっしりと構える中で、社員が熱心に会社説明をしてくださります。北部のビジネススタイルは、どことなく中国に近い印象です。

リサイクル業者
リサイクル業者の社長宅兼オフィス
リサイクル業者
社長は市内に複数自宅を保有したり、高級車を保有する

ごみの焼却が禁止されているフィリピン

フィリピンでは、大気汚染防止法の関係から、原則、ごみを燃やすことが禁止されております。このような法律はほかの東南アジアでは存在しておらず、大きく事情が異なる点となります。

ごみの多くは埋め立て処理されるため、次々とフィリピンの埋立地が満杯になっていきます。特に昨今の人口増加と経済発展の影響からごみの量は増加しており、ごみ処理は大きな社会問題となっております。

大手のごみ処理業者やリサイクル業者は存在せず、自社ホームページを持たないような小さな業者が不法に処理しているケースも多いので、処理業者の選定は特に注意が必要です。

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